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「やァ中也。やっぱりGPSかな?」
「んな事はどうでもいい。かくれんぼは終わりだ」
あくびを一つ零すと車のドアを開けた。
彼は果たしてかくれんぼのルールをご存知なのか?
「かくれんぼはタッチしたらお終いなんですよ?ルール分かってますか?」
太宰さんに身を隠しながら挑発すれば、可愛らしく首をかしげて中原さんは答えた。
「タッチすりゃあいいんだろ?」
「は?ですから______」
腹が立ち太宰さんから身を乗り出して反論しようとした時だった。
それは一瞬の出来事だった。
太宰さんが目を見開き私の手首を掴む。
それと同時に、目の前には中原さんがいたのだ。
その手は私のもう片方の手を掴んでいた。
「タッチ」
ニコリと微笑んだ中原さん。
一体何が起きたのだろうか。
「え、は、」
だって、さっきまでそこにいたじゃん
どうやってここまで?
早すぎて目で追えなかった
「んじゃあ行くか」
「中也、彼女の手を____」
すぐ隣で喋っていた太宰さんが、数メートル先にぶっ飛んでいった。
隣からの凄い殺気に背筋が凍る。
数メートル先の壁に勢いよくぶつかり地面に倒れた太宰さんが見えた。
「だ、太宰さんっ」
駆け寄ろうとしたが、私の手首がぴりっと痛んだ。
「離して!」
手首を掴む手をもう片方の手で引き剥がそうとする。
が、向こうはあくびを零しながら私を担いだ。
……担いだ?
「へぁっ!?ちょっ、降ろせぇえええ!」
女子らしからぬ声が響く。
中原さんはまるで米俵のように私を軽々と担いだのだ。
「えっ怖い怖い怖いっ!!」
初めての経験にがしりと中原さんの外套を握る。
「ッせぇな。ちょっと黙っとけ」
いや無理ですって!!
段々と遠ざかっていく太宰さんに手を伸ばしたが、その手は当然のように空を切った。
その時、ひらりと何かが目の端に映る。
それは太宰さんに渡された紙切れだった。
しまったと思ったが時既に遅し。
紙切れは地面に着地していた。
「…うおぁっ」
急に止まったかと思えば視界がぐるりと回ってお尻に衝撃が。
どうやら車に放り込まれたようだ。
座席がコの字になっていて、真ん中にテーブルがある所を見るとリムジンだと見当がつく。
私が放り込まれたのは出口から1番遠い座席。
出口に向かおうとしたが、そこには中原さんの姿が。
「摘んだ」
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ユリア(プロフ) - 最初はいい感じだったのに、途中から険悪な雰囲気になっててどうなるかと思いましたが、お互いに仲直りできたみたいでよかったです!素晴らしい作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 15時) (レス) @page37 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - ochanekosakuraさん» こちらこそ最後までありがとうございました!泣けるような作品をかけて良かったです(*´∀`)-3 (2017年8月26日 3時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 中也推しの私は、最後泣いちゃいましたァ笑天さん、素晴らしい作品を、ありがとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - ユウギさん» な、なんと嬉しいお言葉を(´;ω;`)ブワッありがとうございます!続編の方も頑張りますので!(*・ω・)*_ _)ペコリありがとうございました!! (2017年3月17日 0時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年1月30日 1時