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「はい、何も無いけどゆっくりしていってね」



店の奥のベランダにある簡易的なテラスへと移動し、俺の分のコーヒーを置いてくれた。

大先生はと言うと、迎えにきた俺を全く無視し
Aさんにべったりだった。



「俺とAちゃんの二人だけの時間を、ショッピくんに邪魔されるとはなあ」

「ふふ、私は鬱くんたちの後輩と会えて嬉しいけどな」

「えー!俺だけじゃ満足出来ひんの!?」



仲睦まじい会話を広げる二人に置いてけぼりの俺。

そんな二人の会話を聞きながら、コーヒーを飲む。豆から挽いたのか、香りがものすごくいい。

出されたお菓子に目をやる。
そのお菓子は昨日オスマンさんが隣国の手土産といって貰ったものと似ていた。



「そういえば、ショッピくんはどうして此処へ?」

「あ、そうでした。大先生、コネシマさんが呼んでましたよ」

「…っは!そういえば書類があったような…」

「トンくん困らせる前に早く行きな?」

「えー!もうお別れ!?」

「俺がコネシマさんに怒られるんで」



Aさんに抱きつこうとする大先生を止め、
席を立った。「ご馳走様でした」と口にすれば
「お粗末様でした」と食器を片す、彼女。

際立って美人、とかではないが、何故だかこの人から目を離せなくなる、そんな人だった。


外に出て、後ろに大先生を乗せる。



「またきてね」

「言われなくてもまたすぐ来るで♡」

「ショッピくんも」

「あ、はい」



やっぱり不思議な人。
不本意ながら、大先生を乗せたバイクを運転しながらそう思う。

そういえばさっきもトントンさんの名前とか出てたし、呼び方が親しかった。只の花屋ってだけではなさそう。


バイクに乗っている間、後ろの大先生は
一言も口を開かなかった。


先程買った白色の名前の知らない花を見つめた。





***





「鬱くんとショッピくん帰っちゃったよ?」



そう問うと彼は上から降ってきて、無邪気な笑顔をして「好都合や」と答える。

緑色の彼は大先生と同じくらい頻繁にここにくる。
ここ、それなりにお城からは遠い筈なんだけどなあ。



「どうやった?ショッピくん」

「シマくんの言ってた通り、いい子だね」

「ゾムくんは?」

「ふふ、ゾムくんもいい子」



そうやって彼の頭を撫でると彼の頰はゆるりと緩み、嬉しそうにはにかむ。



「……でもショッピくんは何も知らないでしょ?」

「知らんくてもいずれ知るようになるやろ」



彼はつまんなそうに欠伸をした。



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まちや。(プロフ) - Yuik111400さん» うわあ!素敵なお言葉ありがとうございます!!そう思ってもらえてなにより嬉しいです!! (2019年4月21日 11時) (レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
Yuik111400(プロフ) - あれぇ?視界がボヤけてる...この作品凄くよかったです。声を殺して泣きました。こんな素敵な作品に出会えてよかったです。ありがとうございます! (2019年4月20日 0時) (レス) id: d5c9d61335 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まちや | 作成日時:2019年2月3日 6時

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