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黒塗りの車が国境を通過した。
隣国との会談が終わり、その帰り道という訳だ。
広い車内には俺含め、男三人が座っており、
時折会話を挟む程度、車内は至って静かだった。
目の前に座っている外交官ことオスマンは窓から外の景色を眺めたり、話題を出したりしている。一方、その隣で俯き、腕を組んで目を閉じている白い軍服を着ているのが、今日の護衛を頼んだひとらん。
俺はそんな二人の様子を一瞥し、
再び窓へと視線を移す。
今日の会談は何の収穫も進歩も無い、時間の無駄となってしまった。そのことについて、先程まで話していたのだが、
ふう、と溜め息を零す。
我が城へと続くいつもの道。
俺は重い空気の中、運転手へと声を掛ける。
「___いつものところへ」
「分かりました」
そう、俺が声を発せば、前の二人はフッと顔を上げ、少し微笑んだ。そんなコイツらが可笑しくて、俺も頰を緩めた。
数少ない、俺
肩の力がいつのまにか抜けていた。
運転手も、俺の端的な言葉で「ああ、はいはい、いつものね」と諦めた様子で苦笑している。大凡、トントンあたりに釘を刺されているのだろうが、この国のトップは俺だ。さすがに俺の命令は歯向かえない。
帰る時間が遅くなって、トントンに説教を食らう未来がぼんやりと見えているが、それでもいいだろう。
さっきの窓からの景色は、
何故だかとても眩しく感じた。
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まちや。(プロフ) - Yuik111400さん» うわあ!素敵なお言葉ありがとうございます!!そう思ってもらえてなにより嬉しいです!! (2019年4月21日 11時) (レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
Yuik111400(プロフ) - あれぇ?視界がボヤけてる...この作品凄くよかったです。声を殺して泣きました。こんな素敵な作品に出会えてよかったです。ありがとうございます! (2019年4月20日 0時) (レス) id: d5c9d61335 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちや | 作成日時:2019年2月3日 6時