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平常心。
バイクで風を切る中、ぎゅっとバイクのハンドルを握る。
後ろに乗ってるのは今日はAさんってだけで、この前大先生を乗せたときはこんなに緊張しなかったはずだ。
じわり、と手に汗が滲む。
俺のお腹には彼女の細い腕が回っていて、背中辺りに彼女の呼吸さえ感じられる。ぐん、と体温が上がるのが自分でもわかる。あ、これやばい、意識し始めたらやばいやつ。
俺はこのよく分からん感情を振り払うようにバイクをとばした。
暫くすると、背中をツンツンと突かれる感触が。
なんや？とバイクを一旦止める。
「花屋に着く前に、孤児院に寄ってほしいの」
「ええけど」
「ありがとう」
彼女はそう言うと再び俺の腹に腕を回し、きゅっとしがみついた。
わざとなんか？なんて質問は彼女に投げかけるわけにもいかず、俺は考えるのをやめた。
＊
古びた孤児院が街外れにある。
そこには沢山の、親のいない子供達がいる。子供と言っても赤ん坊から中学生まで歳はいろいろ。この国の孤児院は16の歳から男女問わず兵士として国に貢献しなければならない。…それは昔と変わらないことだが。
孤児院に着くや否や、彼女は孤児院の中に入って行った。折角なので、俺も着いて行くことにした。
孤児院は “あの頃” と変わらず、子供達で溢れかえっていた。
遠くからAさんを見ているが、ここの大人と話をつけているようだ。どこから出したのか、大きな花束を渡していた。その大人と話が終わると、今度は子供達に囲まれていた。大方、遊ぼうとでも言われているのだろう。すると、俺に目配せをした。
「あそこのお兄ちゃんが遊んでくれるって！」
「…は？」
俺に聞こえるように言ったその言葉の意味を理解できなかったが、子供達が駆け寄ってきたことによって理解せざるを得なかった。
「むらさきのおにいちゃん、あそぼ！」
「きょうはちがうおにいちゃんだー！」
Aさんと話していた大人も俺と戯れる子供達を見て微笑んでいた。子供ってそんなに好きじゃないんだけどなあ。
一人の子供を肩車しながら、そんなことを思った。
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まちや。(プロフ) - Yuik111400さん» うわあ！素敵なお言葉ありがとうございます！！そう思ってもらえてなにより嬉しいです！！ (2019年4月21日 11時) (
レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
Yuik111400(プロフ) - あれぇ？視界がボヤけてる...この作品凄くよかったです。声を殺して泣きました。こんな素敵な作品に出会えてよかったです。ありがとうございます！ (2019年4月20日 0時) (レス) id: d5c9d61335 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まちや | 作成日時：2019年2月3日 6時
