page11 ページ12
.
エミくんと談笑をしていたら、すっかりお昼が過ぎてしまっていた。
とりあえず、グルくんのところへ。
なんて考えていたら、後ろからガシャン！と何かが落ちる音が。反射的に振り返る。
＿＿＿＿＿＿＿目の前に、緑の瞳を捉える。
「Aー！お昼の時間やで」
「……ゾムくん」
どうやら何かが落ちる音の正体は、ダクトの蓋が落ちる音だったようだ。
安心していられるのも束の間、視界がぐわっと変わったかと思ったら、案の定、それはゾムに抱きかかえられていることが分かった。
「わっ」
「んふふ、何食べる？」
何処へでも連れてったるで、と笑顔で言うゾムくん。これはいつものこと、そこまで驚きはしない。
「グルくんのとこ」
「俺の前で堂々と浮気か？」
グルくんの名前を出せば、分かりやすくムスッと顔を顰める。ゾムくんは他の人(男)の名前を出すと、明らかに嫌な顔を浮かべる。
「もう、そんなんじゃないって！」
「ほーん？」
ゾムくんは、「首、捕まって」とだけ言うと
近くの窓から飛び降りた。
突然のことに私は吃驚して、きゅっと彼の首にしがみつけば、彼はまた機嫌を良くして腕の力を強めた。
パリン、と割れた窓。
3階にいた私達だったのだが、あっという間に地面に着いた。飛び降りている最中、ゾムくんは近くの木でワンクッション置いたため、怪我はしていないみたい。
「窓割ったらトンくんに怒られちゃうよ？」
「んー、Aはいつもええ匂いするなあ」
ゾムくんは私の話を一切聞かず、私の首に顔を埋める。わあ、擽ったい。でもこれも慣れてしまった。
私が下ろして、とゾムくんの胸板を叩いても、
ゾムくんはそんな私を見て面白がるだけだった。
すると、近くを通った金色の短髪が目に入った。
「シマくん！！」
「うおっ！！…ってA！…とゾムやないか！」
「お呼びでないで、シッマ」
「助けてシマくん！！」
懇願するようにシマくんに縋れば、「よう分からんが、ぺ神呼ぶで？」とゾムくんを脅して、私はようやく解放された。
「ありがとう、シマくん！」
「おう！良かったわ！」
「これからゾムくんとお昼ご飯食べいくんだけど、助けて貰ったお礼として、一緒に行こ？」
「ぅえ、あ、俺、さっきメシ食ったばっかなん、」
「しゃあないなあ、シッマ、お前も入れてやるよ」
がしりと掴んだシマくんの肩を
ゾムくんは離さなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まちや。(プロフ) - Yuik111400さん» うわあ！素敵なお言葉ありがとうございます！！そう思ってもらえてなにより嬉しいです！！ (2019年4月21日 11時) (
レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
Yuik111400(プロフ) - あれぇ？視界がボヤけてる...この作品凄くよかったです。声を殺して泣きました。こんな素敵な作品に出会えてよかったです。ありがとうございます！ (2019年4月20日 0時) (レス) id: d5c9d61335 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まちや | 作成日時：2019年2月3日 6時
