【短編集】Forme d'amour【QK】

【SS】「馬鹿」/all ページ17

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大きなテレビにサッカーの試合が映る。「拓司、それ面白いの？」「それはもうめちゃくちゃ」「そっか」久しぶりの2人揃っての休日なのに拓司は私の家に来てサッカーを見ている。構ってもらえると思ったらずっと放置されて今。片付けでもしよう、と諦めて拓司の横から立ち上がった。「ね、どこ行くの」絶対にテレビから目を離さないはずの拓司が私を見て問いかける。「だって試合、見てるから」今私は寂しそうな顔をしているのだろうか。「ごめん、今から構う」テレビが消えた。「ばか」こっち見るの遅いよ。/izw


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「あ、それ探してた」俺の手からTシャツを攫っていく。服の整理をしていると、買った覚えのない服まで出てくるから困ったものだ。「この服は？」「いらない」「こっちは？」「それはいる！！」2人で服の断捨離を進めていくと、先程見たTシャツが新たに出現した。「待って、これさっきのと同じ？」「そうだよ」「馬鹿じゃないの？」似た柄や色違いではなく、全く一緒の。「なんで？」「拳くんとお揃いにしたくて………」頬を掻きながら照れたように言った。「もう、馬鹿だねぇ」ちゃんとサイズ確認しないと。次は一緒に買いに行こっか。/fkr


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スーパーで卵のパックを手に取る彼女の肩に手を乗せ、引き止めた。「ちょっと、ストップ」「はい？」「一昨日も買ってませんでした？」「2パック買いましたね」そうですよね、と2人で頷く。「昨日は？」「1パック買いましたね」「馬鹿なんですか？」そんな満面の笑みで報告しないでくれ。「どうして卵ばかり買うんです？」「ホールケーキ作るためです」「馬鹿なんですか？」また急にホールケーキなんて。僕も貴女も甘党ではないでしょう。「拓哉さんとケーキ食べたいんです」スマホを取り出して、何度かスクロールした。「抹茶の粉入れると甘くなくていいみたいですよ」僕も大概貴女に弱い。/kwmr


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