【短編集】Forme d'amour【QK】

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「………リップ、いつものでええんやな」





『そうだけど……？』





「買ってきたるわ」





『おっマジ！？ありがと、大好き拓朗！』





俺はアイドルとしての星波Aが好きだ。





しかし、1人の女の子としての星波Aも好きだ。





きっと今俺に言った「好き」はLoveじゃなくてLikeだし、Aがファンに向ける「好き」と同じなんだ。





俺はこんなに好きなのに。





好きの温度が違いすぎる。





時に、幼馴染という関係さえ残酷に感じてしまう。





幼馴染なんかじゃなければよかったのに。





「はいはい、俺も好きやで」





気付いてないくせに、そんな嬉しそうに笑わないで。





切なくて、苦しかった。





俺の気持ちは空回りしていた。









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【星波A さんがツイートしました】


星波A @Seina_a

日本武道館、行きます。あと今日の20時に超大切なお知らせあるので把握よろ。


《星波A、日本武道館ライブ決定！》






「………は？」





ツイートとほぼ同時に、Aからメッセージが来た。





A拓朗へ。夢が叶いました。





簡潔な文と共に、詳細情報が載ったリンクが送られてきていた。





俺は気付いたら家を飛び出していた。





自分でも分からないけど、きっと足はAの家へ向かっている。





肩を上下させながら、インターホンを押す。





『あ、拓朗じゃん。どしたの』





「………おめでとう」





『まさか直接言いに来てくれたの？』





「直接言わなあかん気がして」





『………ありがと』





来てくれたんだし上がって、と家に俺を招き入れた。


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