検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:7,689 hit

魔王の背中 ページ9

天月side



えっとね、簡潔に言うと、

僕、殺されそうです。


足の先から徐々にまかれている蜘蛛の糸

元々逃げ出せないように縛られていたが、その上からぐるぐるまきにされている

頭の先までくればきっと繭のようになるのだろう

抵抗しようにも糸がまかれる速度が速く、

どんどん自由が利かなくなる


これは本当にまずいのでは…?




「人間の王子よ…其方に恨みはない。だが、魔物の誇りのため、死んでくれ」


「王子が魔物に殺されたと知られれば人間は黙ってないはずだ」


「かつてのようにこの城へ進軍してこよう」


「さすれば大魔王もお目覚めに…」




「なに私の客人に手を出してるのよ」




聞き覚えのある声と共に、

僕の回りにいたスパイダーを散らすように、黒いもやが僕を取り巻いた

そのもやが人型を成すまでの間に、僕を縛っていた糸は切れていた


急なことにスパイダーも驚いていると思いきや、彼らは動じていない




「遅れてごめんなさい。立てる?」




そういって手を差し伸べてくれるAちゃん

彼女の手を取り、立ち上がり彼女の横に立つ




「お嬢様……」




スパイダーは口々にそう呟くと、彼女へ頭を垂れた

どうやら敵対しているというわけではなさそうだ




A「毎度毎度、ほんとにしつこいわね」


「……。我らだけではありません。ニンゲンと交わした条約に不満を持つ者は一定数、いまだにいるのです。お嬢様もその一人と思っておりますが……」


A「…そうね。そうかもしれないわね。だけど、それは貴方達がどうこうできる問題じゃないわ」




一言一言に威厳を乗せてそういうAちゃん

初めて魔王らしいところを見た気がする

なんて、失礼だろうか…


立場的なことを言えば、僕と彼女は似ている

僕は王子で、彼女は魔王

いづれはそれぞれの住人の上に立つ


だけど、僕と彼女は違う

僕は王子なんてやめてやる、と96ちゃんを困らせるほど口にしている

僕にとって王子なんて座は窮屈で、名ばかりの名声なんて欲しくなくて

坂田たちと同じ町に生まれ、駆け回って、悪戯をしていたかった

大人たちの一方的な思考を押し付けられることも、命を狙われることもまっぴらだった


でも、彼女は違う





A「けじめは私がつける。それでも不満があれば、面と向かって私にいいなさい。魔物が姑息な手段を使うんじゃない」





彼女は、全部抱えて歩いているんだ

昔のはなし→←魔物と人間



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
497人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 異世界
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

MOA(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2021年5月17日 19時) (レス) id: 968a47ffc5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:武蔵野 三歩止(ムサシノ ミホト) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月29日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。