浅沼家の日常7

夜食の会 ページ14

貴方side

草木も眠る丑三つ時


つまり午前2時


現在私はリビングにてパソコン作業を行っている


晋さんも息子たちもとっくに寝ているためリビングにはキーボードを打つ音のみが響く


え？自分の書斎は使わないのかって？


だって寂しいじゃない


少しでも人の気配を感じられるリビングの方が作業には最適な場所になることもある


ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ


『ふぅ…あと少し…！3時までには寝ないと』


ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ


ひたすら画面に集中する


ｶﾞﾁｬ


『ん？』


秀斗「…母さんまだ起きてたんだ」


『秀斗こそ、夜中に起きてくるなんて珍しいじゃない』


2つある子供部屋のうち、右側の扉から出てきたのは次男の秀斗


1度寝たら朝までぐっすりの彼が起きてくるのはとても珍しい事だ


『どうしたの？トイレ？』


秀斗「んーん。お腹すいちゃった」


『お腹すいた…！？』


秀斗「うん…」


眠そうな顔で空腹を訴えてくる


『どうしようか、何か作る？』


秀斗「うん…食べたい」


『じゃあ簡単なの作るから座ってて。フラフラして危ないわ』


秀斗「うーん」


そう言って食卓に突っ伏す


このまま本格的に寝る前に作って食べさせなきゃ


『夕食で余った白米とお出汁と…あ、生姜とネギも使っちゃおう』


冷蔵庫から使えそうなものを取り出し早速調理台へ


今回作るのは、題して【超簡単おにぎり茶漬け】


夕食で使った出汁の余りを温め直している間に鰹節やお醤油、ゴマなどを混ぜたおにぎりを握り、生姜やネギを少量刻む


『う〜んお出汁がいい匂い。私の分も作ろうっと』


2人分のおにぎりと出汁をお茶碗に盛り付ける


最後に刻んだ生姜とネギをおにぎりの上に乗せれば完成だ


『はい、出来たわよ。チャチャっと食べて早く寝なさい』


秀斗「うわぁいい匂い。いただきます……超美味しい！」


匂いにつられて目が覚めたらしい秀斗はものすごい勢いでお茶漬けを掻き込む


コップに白湯を一杯入れて渡すと見ていて気持ちいぐらいのグイッと一気飲み


『さすがに少なくしか作ってないけど速いわね』


秀斗「だっていい匂いだし美味しいし。時短なのにこんなの作れるんだね」


『ふふ、これぞ母親の知恵よ』


勝因は冷蔵庫の中身が偶然充実してたからだけどね


『私も今日ぐらいはいいかな。いただきます』


食べ終わった秀斗はニコニコとこちらを見つめている


『まだ食べたいの？』


秀斗「いいの？」

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