アネモネ夢気分（os） (ページ7)

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｢あー最悪…｣

春とはいえ太陽は相変わらず眩しい。
準備運動とアップを終えた後は練習試合だ。

さっきのキャッチボールでさえ雅紀に迷惑かけたのに…。
ジャンケンで雅紀とは別のチームだ。

｢…なるべく迷惑かかんないとこにいよ、｣

俺はできるだけ外野の奥の方に立った。
ここまで打ってくる子は少ないだろうし、取れなくてもまあ仕方ないし。

｢あ、｣

智くんだ。
気に入っているのか、よく見る紺色のジャージを着て、バッターに球出しをしてる。

今日もキラキラ輝く髪。
思わず見とれてしまうほどだ。
この１週間、智くんのことを忘れよう、忘れようと言い聞かせてきたのにそれは叶うことはなかった。
廊下で会う度、声を掛けてくる。よお櫻井、って。

立場上１人だけ名前で呼ぶことは出来ないんだろう。
でも智くんから櫻井、って呼ばれる度にキュン、とする。
完全に、恋じゃない？

｢…やっぱかっこいい｣

この距離なら聞こえるはずがない、そう思って呟いた。
けど、先生はタイミングよくこっちに振り向いて。
え？なんで？

｢櫻井！！！｣

困惑してる俺は気づかなかった。
俺の頭上に雅紀の打った硬球が落ちてきていることに。

そっか、だから振り向いたのか、ボールがこっちに飛んだから…。
納得してる場合じゃないのに、体は動かなくて。
鈍い音にガツンとくる痛み、急に目の前が真っ暗になって、俺の体は校庭に打ち付けられた。