「73.実家」 ページ24
あれから数時間後
中断した検査を再開し、結果として迅さんの予知は的中
辺りは既に薄暗く、ランク戦の夜の部も終わりを迎えており、トボトボと帰路に着いた頃
「Aさん…?」
「うわ…どうしたの、顔色悪いよ」
『なんだユズルか、お疲れさ__』
「あ、ちょっと…!」
その顔を一目見て気が緩んだのか、一歩踏み出そうとした次の瞬間、視界が空を映した
即座に状況を理解し受け身を取ろうとしたが、それより先にユズルが手を掴んでくれたお陰で派手にコケる事なく済んだ
「危な…怪我はない?」
『…うん、ユズルのお陰でなんとか』
「今日は寒いしいつも以上に滑りやすいだろうけど…もしかして本当に体調が悪いとか?」
心配そうに私の顔色を伺うユズルに、嘘は言えないなと今日の出来事を端的に話した
『___って感じで、確かに疲れてるのかも知れない』
「…そっか」
「…
ユズルなりの気遣いなのだろう
『じゃあ…お言葉に甘えようかな』
直ぐにレイジさんと今日の夕飯当番の栞に連絡して、ユズルと共に叔父さんが待つ家に帰ることになった
「ただいま」
『お邪魔しまーす』
電気が灯ったリビングから夜ご飯の準備をしていたのか、叔父さんがエプロン姿で出迎えてくれた
「お、誰かと思ったら…久しいね」
『叔父さんも元気そうで何よりです』
「Aちゃんがこの家を出てもう一年とちょっとか。そろそろホームシックで戻ってくるんじゃないかって思ってたが、本当に顔を見せにきてくれるとは」
「父さん、そう言うのはいいから」
「すまんすまん、さあ2人とも上がって」
ここに来たのは正解だったな
まだ玄関先にも関わらず、そう思った
◇◇◇
すっかり夜も更けてきた頃
『どうしよユズル、叔父さんもう寝ちゃった…』
「高いお酒開けてたし、当然っちゃ当然でしょ」
「そのまま寝かせといていいよ、そのうち寝床に行くだろうから」
『そっか、それもそうだね』
つい先ほどまでは年相応に学校の話や友達の話をしていたが、2人きりになると、必然的に叔父さんの前では控えていたボーダーの話題が上がる
「そういえば次の水曜、玉狛と
『じゃあ今日の試合、勝ったのはあの子たちか…』
その時ふと「上位入りを目指している」と告げた玲の姿が頭をよぎった
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作者名:しら | 作成日時:2023年11月5日 17時