ピュアボーイの煩悶/4 ページ17
◇
「おっ…! いいぞいいぞ〜…………あっ、やべやられる…! 俺を舐めんな!!!」
「ああああ!!! 真緒お兄ちゃん回復した!!!」
「うっわ! 年上なのに大人気なさすぎ〜」
「うっせ! これが社会っつーもんだよ!」
「…………まだ学生でしょ、真緒も」
「いやそうだけど………は?!」
何してんの、私の部屋で。呆れ顔で部屋の壁にもたれかかっていたのは、この部屋の主であるAだ。
「あ、お姉ちゃんおかえり!」
「姉ちゃんおかえり〜」
「おかえりじゃないでしょ、なんで真緒が私の部屋にいるのかな?」
怒ってる? 俺は感覚でそう思ったが、Aはふっと笑って、「まあいいけど」と自分の机に直行する。
買い物にでも出かけていたのだろうか、外行きの服を着ている。
「なあA、どっか出かけてたのか?」
「あんずと二人で買い物ー。割り勘して色々買っちゃった」
ぺろりと舌を出していたずらに笑うAの不意打ち攻撃をクリティカルヒットした俺は、「そうなんだな」と必死で普通を取り繕った。
…笑うんじゃねえよそこの双子!!!
そう思っていると、Aは双子の手からコントローラーを取り上げる。
「あっ」と同時に声が上がり、二人の視線はAへ向かう。
「それで、ゲームはおしまい。ひなのは真緒に勉強教えてもらうんじゃなかったの?」
「あっ、それね? 私わかったから大丈夫!」
「は?」
「はぁっ?!」
俺とAの絶叫が、夏越家に響く。
なんだそれ、俺が来た意味ないじゃん!
そう思っていると、「自分でわかったんだ………偉いじゃん」と微笑んで、Aはひなのの頭をくしゃりと撫でた。
…これはチャンスでは?
Aの死角になるところに陣取ったみなとはぐっとサムズアップをしていた。
…口実を作れ、って言いたいんだな、アイツ。
ばくばくと早鐘を打つ心臓を無視して、普通を取り繕う。
「………あー…じゃあ、俺が勉強教えてもらっていいか?」
「? 私に?」
「そう。ちょっと今回の数学がわかんなくてさ…」
「なるほどね」
Aは「道具持ってきなよ」と笑って、たぶん飲み物を取りに行くのだろう、すっと立ち上がった。
ひなのとみなとは俺を肘で小突き、「お邪魔虫は退散しまーす」と部屋から出ていく。
さすがにバレるかと思ったけど───気づいてない。…A、お前鈍すぎ。
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まいとりー。(プロフ) - 夏目かこさん» 夏目かこさん、コメントありがとうございます。そうです、大正解です!! (2022年9月14日 7時) (レス) id: a716690bac (このIDを非表示/違反報告)
夏目かこ - ハニワですね、告白予行練習 (2022年9月13日 23時) (レス) @page3 id: 26710bd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まいとりー。 | 作成日時:2021年11月20日 23時