ピュアボーイの煩悶/1 ページ14
◇
………なんでこんな幼馴染の家に入るだけなのに緊張してんだ、俺。
俺は初心か。初心だけど。
………仕方ない、アイツの妹───夏越ひなのに頼まれたんだ、仕方ない。
腹を括れ、行くしかない。
＊
＊
＊
気合を入れて夏越家に向かったものの、あいにく当事者であるAは留守。
ほっとしたような、少し残念なような、複雑な気持ちを抱きながら、戸口に出てきたAの妹のひなのと、
───弟のみなとが口を尖らせる。
「ええー？ 真緒兄ちゃん、ひなのだけに構いに来たの〜？」
「うるさいみなと！ 私、真緒お兄ちゃんにお勉強教えてもらうのー！」
ひなのはAに似て、努力家で勉強熱心。
対になるところと言えば、Aが"王子様"に対して、ひなのは"お姫様"なところだろうか。
みなとはAに似て、イケメン。
ただし末っ子だからなのか、まだ甘えたで飽き性。ただ感覚が鋭くて、"なんとなく"でなんでもできる、Aと同じ天才肌な奴だ。
天真爛漫なひなのとイケメンとかわいいの二面性を持ったみなと、天才肌な王子様、A。
俺とAが中三のとき、そしてひなのとみなとが中一のとき、この三姉弟が揃ったときの黄色い悲鳴は凄まじかった。
Aは、クラスや学年の男子はもちろん、女子たちからもモテていた。
逆に、いつも一緒にいた俺と凛月の方が敵対視されてしまうほどの人気。
当時中三だった朔間先輩と二人で"うちの中学伝説のイケメン"と未だに語り継がれるほど。未だに二人で中学に呼ばれ、アイドルもどきのなにかをさせられていることばかり。
2月14日なんて、そりゃあまあ大変だった。
俺も凛月も、それなりにチョコはもらっていた。
───でも。
『………ま〜くん、』
『…りっちゃんもか？』
『うん………A、本当にモテるよね…』
『………ああ、なんか………複雑だな』
『………………うん』
『衣更くんっ、あの───…夏越さんと幼馴染なんだよね？！』
『夏越さんに渡してほしいんだけど…………』
『え？ えっと…………』
『あっ、凛月くん、夏越さんに渡してほしくて…』
『…え？』
『幼馴染なんだよね！ お願いね！』
『え…？ ちょ、ちょっと…？！』
こんな風に、俺たち幼馴染はA宛てのチョコを、伝書鳩のように毎年、渡していたわけだ。
夢ノ咲に来てからなくなったが、やはりあれは大変だった記憶しかない。
◇
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まいとりー。(プロフ) - 夏目かこさん» 夏目かこさん、コメントありがとうございます。そうです、大正解です！！ (2022年9月14日 7時) (
レス) id: a716690bac (このIDを非表示/違反報告)
夏目かこ - ハニワですね、告白予行練習 (2022年9月13日 23時) (レス) @page3 id: 26710bd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいとりー。 | 作成日時：2021年11月20日 23時
