追う者[7] ページ36
原「瀬戸ぉー……今何時〜」
瀬「あー……12:53。」
原「マジか〜。もう時間切れまで10分ないじゃん。」
瀬「可能性は五分五分だと思ってたんだけどね。これはもう無理かな……」
ぐったりと座椅子にもたれかかった瀬戸が愚痴をこぼすように口を開く。
可能性は半分だと言いつつも、彼のこの作戦に賭ける期待というのも少なくはなかったのだろう、その分落ち込みも激しいようである。
それは瀬戸だけではなく、原、山崎も隠す気力もないほど疲れを顕にしている。
――――ただ、この諦めムードのなか、唯1人古橋だけはPC画面を食い入るように見つめる。
古「……」
どんな些細な信号も、見逃すまいと。
片時も目を離さず。
すべては此処にいないリーダーの為に。
山「おい古橋。もう無理だっつってんだよ。それは諦めろよ。他にもまだ何か、あんだろ方法が。それかもう警察に通報するとか、」
古「うるさい。邪魔をしないでくれ」
パシッ
山「……!てめぇ、」
山崎がPCに向かい続ける肩に手を置くと、古橋はそれを乾いた音を立てて払った。
続けざまに山崎を振り返り、睨みあげる。
山崎はその剣幕に怯んだように、顔を一瞬強ばらせた。
古「俺は花宮が無事に戻ってきてくれるなら、どんなに低い可能性にだってかけたいんだ。何をしてでも。
だから、頼むから、邪魔をするな……!」
古橋が立ち上がり、山崎の胸倉を掴んだ、その時。
古「?……何、その顔。」
古橋は山崎の表情に違和感を覚える。
普段どれだけ原や花宮に馬鹿にされようと、山崎だって立派な不良である。
睨まれ、胸倉を掴まれたならやり返すくらいのことはしてくると思っていたのに。
彼は古橋の予測とは違い、愕然とした顔で、一点を見つめていたのだ。
喉から漏れる声は聞き取りづらく、言葉にすらなっていないような有様だ。
古「何……何が言いたいんだ。はっきり喋れよ。」
山「ちが、違う、ふる……後ろ。後ろの、パソコン。見ろよ、」
古「はぁ?」
山「いいから、パソコン!早く見ろって!」
古橋が怪訝な顔でPCを振り返ると。
古「……ッッ!!」
信号の受信を表す赤く輝く点が、画面上の地図に一点、忽然と灯っている!!!
古「瀬戸!早く特定してくれ!早く!」
瀬「落ち着け古橋!今するから待ってろ!まずそこどいて!」
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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時