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誘拐:51 ページ9

「きっと悩んだことでしょう。このまま元妻と子供を裏切るように再婚していいものかと。新しい妻とその子供を危険に晒していいものかと。

「それでも彼は、新しい家族との暖かい家庭に帰ることを望んだ。それ程までに彼は仕事に疲れていたから。

「そして、2度目の婚姻届を出すことを決め、彼女を迎えに行くと約束していた日のちょうど前日。

「事件は起こってしまった。

「長い間会社側の隠蔽に関わり、その内容をほとんど全て知ってしまっている誠治さんを、会社側が消そうと目論んだのです。

「彼は自分を殺しに来たその男に抵抗し、揉み合いになった結果、その男を逆に殺してしまいました。

「やはり会社側はその事件ごと揉み消そうと、誠治さんを幽閉するなどの行為に出ましたが、殺人が起こって表沙汰にならない訳がありません。

「すぐに隠蔽していたアレコレや事件は露見し、会社は倒産、誠治さんも叙情酌量の余地はあったものの、隠蔽に関わっていた罪で逮捕と懲役を言い渡されました。

「不幸だったのは、彼の新しい家族の元にもマスコミが押し寄せたことです。

「世間や近所の冷たい視線に晒されることになり、さらに中学に上がったばかりの娘には酷い嫌がらせや虐めが絶えなくなりました。

「そのうち母親は塞ぎ込むようになり、心を病み、ますます娘は孤独になっていきました。

「そして彼女はある日、思い出しました。

「自分の他にもう一人…………誠治さんの子供がいるはずだ、と。

「彼女は調べてみて愕然とした。
そのもう一人の子供が、自分とは全く違う恵まれた人生を送り、父親の事など思い出しもせず、悠々と高校生活を楽しんでいることに。

「そんなことはあっていいはずがない。
誠治さんとの繋がりが誰よりあるくせに、自分より幸せであっていいわけがない。

「おかしい。ありえない。

「憎い。許せない。

「彼を、不幸の底に叩き落とさないと気が済まない。

「絶対に復讐してやる。




「彼女はそう誓い、それを実行に移した。


そしてーーーー現在に至るわけです。」



黒子はベッドの上で目を瞑ったままのAに目をやる。



「もう、おわかりですね?

貴方の父親、花宮誠治さんは貴方の母親と別れ、Aさんの母親と再婚する直前で殺人犯となり、その不幸は全てAさんに降り注いだ。

彼女はそれを全て精算するために、貴方を誘拐したんだ。」


言い終えた黒子の瞳からは、やはり何も読み取れなかった。

誘拐:52→←誘拐:50



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クロユリ_Leia - 完結まで、楽しみにしてます! 2019年になっていますが、いつまでも待ってますよ! (2019年7月27日 2時) (レス) id: cb3cd906f4 (このIDを非表示/違反報告)
花雀 - 続きが楽しみです!!! (2016年11月20日 14時) (レス) id: 7a0edb0cd5 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 白奈さん» 確かめてみたところ、オリジナルではありませんでしたがキーワード設定に不備がありました……ご指摘ありがとうございました! (2016年6月15日 18時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
白奈(プロフ) - 気のせいだったら申しわけないのですが、オリジナル作品になっていませんか? (2016年6月15日 17時) (レス) id: 37bc689230 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - らぁらさん» そう言っていただけるととても嬉しいです!期待にそえるようにかっこいい花宮を頑張って書いていきたいと思います。コメントありがとうございました!! (2016年4月17日 21時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae x他1人 | 作成日時:2016年3月31日 11時

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