60、さっぱり(真咲視点) ページ13
｢やはり、ここは女人村の言葉に
従うべきではありませんか？｣
｢世子嬪様を犠牲にするなど
とんでもないことです｣
｢ですが呪いを持ち込んだのは
世子嬪様だという噂が国中で広がっております。
それを無視するわけにはまいりません｣
｢根拠の無い噂話で世子嬪様を
犠牲にして良いという理由にはなりません｣
重臣たちが言いたい放題。
でも、領議政だけは、ずっと黙っていた。
世子嬪の実父なのに…
｢領議政は、どう思う？｣
健水くんが聞くと少し考えてから
｢…私は発言を控えさせていただきます、王様｣
と答えた。
｢なんで？自分の娘のことやで？｣
｢世子嬪様が世子嬪となるとき、
世子嬪様に神の子に関することは
何であっても関わらないと約束しております。
ですので私は発言を控えます｣
ここの親子って、
関係がさっぱりしているというか、なんというか…
お互いの足は引っ張らないようにしている。
まぁ、仕事に私情は持ち込まない精神は
すごいなぁと思うけど…
こんなときこそ、娘の味方をしてあげて欲しい。
誰を敵にしても守り抜いて欲しい。
命をかけてまででなくても
かつての咲のように
愛する人を守り抜く姿勢を求めてしまう。
そう思うことは間違ってるのだろうか？
｢王様、やはり、ここは女人村に従い｣
｢いえ、世子嬪様をお支えすべきです｣
埒が明かない。
これ、いつまで続くんだろう…
｢王様！！！｣
勢い良く、会議に乗り込んできたのは凛空だった。
｢会議中やで。どうしたん？｣
｢申し訳ございません、一大事なので…｣
息切れしているところを見ると
相当な状況だと思うけど…
｢どうしたん？｣
｢王子様が、また屋根の上に！｣
｢なんでや！？｣
なんで、そうも高いところに…
ほんとに世子嬪が来てから
落ち着いたことがないな…
そりゃ、変な噂が流れるのは仕方ない気がする。
世子嬪のこと守りたいんだけど…
｢今、世子嬪様が王子様の元へ向かっております！｣
｢会議は中断！真咲、行くで！｣
｢はい、王様！｣
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