8、仲(花嬪視点) ページ9
長い沈黙から
｢っふふ……あははははっ｣
突然、笑いだした王妃様。
すごく笑っていらっしゃるのだけど…
ど、どういう状況？？？
｢ごめん、ごめん。
もう顔を上げて？怒ってないから｣
って、どうにか笑いを堪えながら言う王妃様。
言われた通り顔を上げると
涙が出るほど笑っている。何故…
｢健水の言った通りの人ね。
私に敵対心を抱くような子じゃない。
昨日の儀式も周りが進めたことでしょ？
花嬪が謝る必要ない｣
｢で、ですが…｣
｢前王様のことがあったから月派への偏見は
この王宮の中でも酷い。
だから、すぐに側室を迎えることも
あれだけ大きな儀式をすることも
想像がついていたし、健水とも何度も話した。
花嬪が気にする必要ない。誰も悪くない。
これは、この国の風習が悪いだけ｣
王妃様が王様のことを名前で呼ぶのも、
私に対して、これだけ寛大な心をお持ちなのも
王妃様と王様の関係が揺るがないものだから。
｢私付きの女官たちには花嬪を受け入れたことを
きちんと伝える。だから何も恐れず、健水の…
王様のために堂々としなさい｣
｢はい。王妃様｣
これだけ綺麗で、きちんと周りも見ていて、
そして誰よりも王様を信じている。
この方以上に王妃に相応しい人がいるのだろうか。
王妃様の部屋を出て
すぐに亜弥とさくらが駆け寄ってきた。
｢花嬪様、どうでしたか？｣
｢大丈夫でしたか？
あまりにも戻ってこないので…｣
そう言われて気づいた。
王妃様のところに一時間近くいたことを。
｢つい、お話が盛り上がっただけ。
大丈夫よ。疲れていないし、
むしろ肩の荷が軽くなったわ｣
と二人に伝えると
心からほっとしたような表情を浮かべた。
｢さぁ。次は大妃様の元へ行きましょう｣
『はい。花嬪様』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
