検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:6,030 hit

29、月夜の下で(健水視点) ページ30

産まれてくる子の性別…

それを聞かれたとき、
少し、ドキッとした。

花嬪が大妃様たちから
太陽派の王子を…と言われているのは
風の噂で聞いた。

お世継ぎは太陽派の王子が好ましい。

どうしても、その考えが無くならへん世の中。

太陽でも、月でも、人の尊さは変わらへん。

王でも、国民でも、命の大切さは変わらへん。

なんで、それが通用せーへんねんやろ…

なんで人は、人の上に立ち上がるんやろう…

人の上に立ち続けるのは
そんな簡単なことちゃうのに。

しんどいことの方が多いのに。

疑心暗鬼になることも多いのに。

「王様?」

「えっ、あ、なに?」

「疲れておられるのですか?」

「まぁ疲れてへんって言うたら嘘になるな」

「ご無理をなさっていることは承知しております。
その中で私の元を尋ねてくださること
とても有難く思っております。
難しいこととは重々承知しておりますが…」

「ん?」

「私の前では無理をなさらないでください。
私は王様の妻の一人です。
王妃様に話せないことがあるのであれば
私に話してください。すべて受け止めます」

自分のことだけでも、
かなりしんどいはずやのに
ここまで優しく微笑んでくれるんは
ほんまに嬉しいし、心が痛い。

真咲のためにも
俺が花嬪を守って、支えなあかんのに、
一人で背負わせて、気を使わせて、
何やってんねんやろ。俺は…

「王様?」

「花嬪は優しすぎると思う」

「自分でも、お人好しだとは思いますよ。
でも優しくせずにはいられないんです。
これをやめてしまっては、私は私を嫌いになる。
やらずに後悔ではなく、やって後悔したいです。
例え、それで自分自身の首を絞めることになっても」

そう言う花嬪の目は真剣で、曇りがなかった。

「えっ、あ、あの、王様…」

「少しの間だけ、こうさせて。
俺のためにも、花嬪のためにも」

花嬪を抱きしめる手に少し力を込める。

そしたら花嬪も俺の背中に手を回してくれて

「安心しますね」

と花嬪が呟いたから

「そうやな」

と返事をした。

30、いたい(真咲視点)→←28、王女か王子か(花嬪視点)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:風男塾 , 紅竜真咲 , 愛刃健水
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空井 奏音 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年1月2日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。