27、呼び出し(エミ視点) ページ28
｢ご懐妊おめでとうございます！花嬪様！｣
｢ありがとう、エミ｣
今日は花嬪様、もとい、
咲に呼ばれて王宮に来た。
家族でもない、ただの幼なじみの私は
もう簡単に咲には会えない。
咲は雲の上の人なんだ。
それだけ尊い人になって私まで嬉しい。
それに今、すごく幸せそう。
安心した。良かった。
｢あ、おば様が花嬪様によろしく伝えて欲しいと｣
｢母上の体調は？変わりない？｣
｢良くも悪くも、おば様の体調は
あまり変わっていないと思います。
ですが寂しそうになさっていること、
花嬪様を心配なさっていることが多いです｣
｢そう…母上をここに呼びたいけれど
無理をさせてしまいそうだし…｣
咲と真咲のお母さんは
二人を出産してから体調が悪い日が続き、
今では、身体を起こしているだけでも
辛そうなときがある。
咲は、そのことをすごく心配している。
まだ側室になる前は
よく母親の世話をしていた。
家にいる使用人たちがやるよりも
咲の方が手際が良かったし、
何より、咲のお母さんが幸せそうだった。
面倒をかけているというおば様の罪悪感を
咲がすべて無くしていた。
いつも笑顔で、話すついでのように
母親の世話をしていた。
とりあえず今は話題を変えないと…
｢…ところで、何故、私を呼んだのですか？
何か気になることでも？｣
｢そう。これはエミにしか頼めないと思って｣
｢なんでしょう？｣
｢真咲のことを調べて欲しいの｣
｢えっ、どうしてですか？｣
｢それがね…｣
と、咲の婚姻、懐妊を
喜んでくれない真咲の話をされた。
それを聞いて
｢うーん…｣
と、思わず苦笑いをしてしまった。
だって、そりゃそうでしょ。複雑よ。真咲の心は。
でも、そんなこと言えないし…
｢…わかりました。ちょっと探ってみます｣
｢エミなら、そう言ってくれると思った。お願いね｣
さーて…どうしたものか…
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