23、気づかい(健水視点) ページ24
「花嬪」
「王様」
「座ったままで、ええよ。
体調は大丈夫なん?」
「はい、王様。ご心配には及びません」
医女たちが花嬪の部屋を出て行ってから
俺一人で花嬪の部屋に入った。
かなは、医女たちに花嬪の体調とか、
今後のことを聞いてる。
…実は、こうして2人きりで会うのは半月ぶり。
かなとは、毎日会ってるんやけど
花嬪とは多くて週一で会うか、会わへんか…
政務が忙しいのと、花嬪自身が
めちゃくちゃ、かなに気をつかってて
花嬪に会いに来ても
「私よりも王妃様の元へ」
って言われて、そんなに長居できひん。
そんなんやったから、
まさか妊娠してるなんて気づきもせんかった。
そこは、ほんまに…
「申し訳ない!」
「えっ、えぇ?王様?」
「いくらなんでも花嬪のこと放ったらかしにしすぎた。
花嬪の優しさに甘え過ぎてた。ほんま、ごめん!」
「そんな…気にしないでください。
私は側室ですよ?
お忙しい王様を私が独占してしまっては
バチが当たります。王様が謝る必要はございません」
「これからは、ちゃんと花嬪に会いに来る。
花嬪が嫌やって思うぐらい会いに来る。
だから、もう少し、夫婦らしくならへん?」
「王様…」
「俺たちは国が認めてる夫婦やで?
もっと頼ってええねんで。甘えてええねんで」
そう言うと花嬪の目から
ぽろ…ぽろ…と雫が落ちた。
「ほんま、ごめん!泣かすつもりはなかってん!」
アタフタしてる俺を見て、花嬪は笑った。
「いえ、これは嬉し泣きです。
嬉しいときほど、涙を流したいです」
って微笑む花嬪は、ほんまに可愛くて、
儚くて、なんとしても守らなあかんって
強く思った。
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