検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:6,035 hit

24、違い(花嬪視点) ページ25

自分のお腹の中に
自分のものとは別の命がある。

まだ、本人から
ここにいるよ!と言われた訳ではないけれど
何故だか、つい触れてしまう。

ここにいるんだ。

私の中に、私が守るべき命が。



「花嬪様」

王様が王妃様の元へ戻って
少ししてから真咲が部屋に入ってきた。

それも、複雑な顔をして。

「楽にして良いよ」

そう言うと真咲は私の前に座った。

でも座っただけで目も合わせないし、話さない。

痺れを切らして

「私に何か言うことないの?」

と聞くと渋々、

「お祝い申し上げます、花嬪様」

と心無い祝いの言葉を定型文のまま言われた。

この表情、態度は覚えがある。

それは私が側室になると聞いたときと同じ態度。

何が不満なのかは、わからないけれど
心から喜んでくれることは無さそうだなと思った。

「あまり嬉しそうではないわね」

「そんなことは…」

「そんなに私のことを心配してくれるの?
でも、そんなに心配しなくても私は大丈夫よ?」

そう言うと今までで一番、複雑な表情をした真咲。

「これで当分の間は王様との仲のことを
周りにいろいろ言われずに済む。
ほんの少しだけど肩の力が抜けたわ」

「そう、ですか…」

そう言っても表情は変わらない。

「…ねぇ、真咲」

「なんですか?」

「真咲はどうして私が側室になったときも
妊娠した今も、同じような顔をするの?」

「えっ…」

同じような顔をしていることは
自覚していたみたいね。

しかも、それを言われて戸惑っている。

私の知っている真咲は人の幸福を
一緒に喜べる、共感できる人だと思ってる。

それが私のことになると違う。

その違いが私には、わからなかった。

25、危うく(真咲視点)→←23、気づかい(健水視点)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:風男塾 , 紅竜真咲 , 愛刃健水
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空井 奏音 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年1月2日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。