花は咲き乱れて (ページ3)

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2、散った桜は空を舞い(真咲視点) ページ3

｢真咲は私の大切な弟よ｣

そう言われた幼い頃。

ほんの少し生まれたのが早かっただけで
彼女が姉で、俺が弟。

悔しさとか、怒りを通り越したとき、
それは、いつしか恋心に変わっていた。

咲と釣り合えるように勉強も剣術も頑張った。

どんどん綺麗になっていく彼女に
必死に手を伸ばしてきた。

でも、とうとう、その手は届かなかった。

｢ねぇ、真咲。王様ってどんな方なの？｣

｢んー…おちゃらけてるようで、しっかりしてて
ものすごく頼りになる人、かな…｣

｢じゃあ、王様に恥をかかせないように気をつけなきゃ。
王妃様や私に仕えてくれる女官たちにも
迷惑をかけないように｣

咲の婚姻準備は着々と進んだ。

宮中で暮らすために必要なもの、
簪などの飾りや、側室らしい衣服…

咲は毎日、飽きもせず、
宮中の掟について書かれた本を読んでる。

綺麗に結ばれたタウンモリ姿を見れるのも
あと、何回なのだろう…

｢そういえば、真咲は進路どうするの？｣

｢えっ｣

｢まさか忘れてたなんて言わないわよね？｣

｢咲に心配されなくても、ちゃんと考えてる｣

｢そう？なら良いんだけど｣

〝もう、こうして世話を焼けなくなるのよね…

って、とても小さな声で咲が呟いた。

〝そんなことを言うなら、なんで側室になるんだよ…

なんて口が裂けても言えない。

｢まぁ人の心配せずに自分の心配したら？側室様｣

｢また、そうやってー！｣

こうして、じゃれ合ったのは、その日が最後だった。