1、桜の舞う季節(真咲視点) ページ2
歯車が狂い始めたのは
健水くんが世子になってから。
※世子(セジャ)→次期王位を継ぐ者。
健水くんとは先生が同じで
よく一緒の授業を受けた。
一応と言われるほどの王子だった健水くんが
権力争いとかで、いきなり世子に選ばれて、
嬪宮に、有力貴族の娘、かなさんが選ばれて…
※嬪宮(ピングン)→世子の嫁。次期王妃になる者。
そこまでは良かった。
世子になってから健水くんとは
会う時間どころか
すれ違うことすら、ほとんど無くなったけど
ずっと想い合っていた、かなさんと結ばれて
本当に幸せそうだった。
健水くんが王になって、かなさんが王妃になって、
本当に幸せそうな二人を見て俺まで幸せだった。
健水くんが世子になるときも、王になるときも、
一緒に見ていた咲。
俺の双子の姉で、美人で、賢くて、思いやりのある人。
そんな彼女に、いつからか恋心を抱くようになった。
でも…
「私、側室に上がるの」
それを咲から聞いたとき世界から色が無くなった。
「えっ、どういうこと…?なんで…」
「大妃様の推薦だってさ。
私、そんなに目立ってたかな?」
なんて言って、彼女は笑ってた。
でも、その笑顔は不安を隠すための笑顔だと
俺は知っている。
だから素直に喜べなかった。
「もう、真咲までそんな顔しないでよ。
側室になるのは名誉なことよ?
家族にも恩返しができるし」
「そう、だけど…」
「私、幸せだよ…ううん。幸せになるよ。大丈夫」
違う。
心配してるだけじゃない。
俺はずっと、咲のことが好きだったんだ。
だから…
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