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「お昼、食べてへんやろ?」
と、差し出されたのは、たこ焼き。
(何故、東京で?しかも昼食のセレクトがたこ焼き?)
などの疑問が彼女の頭を埋めつくし
どこから言葉にしたら良いのかわからない。
「えっと…その…」
と、どうにか音になった言葉に
「君を連れ出す直前に買ったから腐ってへんよ。
一緒に食べようや。それとも、たこ焼きは嫌いか?」
と健水が言うので
「い、いえ…ありがとう、ございます…」
深く考えるのをやめ、思ったことは言葉にせず
プールを見ながら差し出されたたこ焼きを食べた。
夏の暑さのせいで、熱いのか冷めているのか、
よくわからない、たこ焼き。
でも、それは、なんだか美味しくて、幸せな味がした。
「あの…付いて、ますよ…?」
「えっ、どこ?」
久しぶりに自分から触れた異性の肌。
自分と、そんなに変わらない感触。
でも、ほんの少し触れただけで、ドキドキした。
「まだ、人が怖い?」
その質問にコクンと彼女は頷いた。
それが彼女の精一杯だった。
「なんで、そんなに怖いんか聞いても良い?」
その言葉に彼女はすごく悩んだ。
こんな話をして良いのか。
でも彼らのことを知ってしまっているのに
自分のことだけを黙っておくのは心苦しい。
でも、話して良いのだろうか。
その葛藤から彼女は黙ってしまった。
「…話したくないなら無理に話さんでも良い。
でも話したいって思うなら、話して欲しい」
健水のその優しい声で
(この人なら…)
彼女は、そう思った。
彼女は自分の手をぎゅっと握りしめ、
少しずつ、少しずつ、話し始めた。
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星空宇宙(プロフ) - すぐ帰るとことか同じ過ぎる (2020年12月5日 21時) (レス) id: 4c7289b17b (このIDを非表示/違反報告)
星空宇宙(プロフ) - 今の私の現実と同じすぎて奏音ちゃんの表現力に鳥肌たったしめっちゃ跳び跳ねてる! (2020年12月4日 19時) (レス) id: 4c7289b17b (このIDを非表示/違反報告)
星空宇宙(プロフ) - 奏音ちゃんありがと( *´艸) (2020年12月4日 19時) (レス) id: 4c7289b17b (このIDを非表示/違反報告)
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