Ballad of the Phantom

45、王女視点 ページ45

今夜、私の人生は終わる。

いや、終えると言うべきなのかしら？

自ら毒だと知りながら口にして、
こうして意識が朦朧とする中で
刺客たち相手に震える手で剣を持つ。

さすがに私でも勝ち目は無い。

だから健水には悪い事をした。

こんな風になるなら
初めから健水にあんなことを言わなければ、
健水に恋心を抱かなければ良かった。

恋なんてしなければ
こんなに死ぬのが怖いだなんて思わなかった。

まだ毒が抜けきらない身体に鞭を打っても
結末は変わらない。

私の命は尽きてしまう。

幸せだったよ、健水。

あなたと出会えて、あなたたちと出会えて、
本当に幸せだった。









そう。

命尽きるはずだった。

なのに、どうして私は健水の腕の中にいるの…？

健水｢間に合って良かった｣

宙｢間一髪だったよ、姉さん｣

真咲｢このまま逃げ切る｣

爽太郎｢追っ手は誰もいません｣

大弥｢ですがトルヴィアノ城は大騒ぎです｣

健水｢このまま逃げ切るで｣

おかしいな…

あのまま、私の人生は終わるはずだったのに…

こんなことされたら

もっと生きなきゃって、死にたくないって、

思っちゃうじゃない…

46、健水視点→←44、大弥視点

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す