33、怜視点 ページ33
実習が始まる前に、
紫織の様子を見に来た。
健水くんから、なんとなく様子を聞いていたから
1人で、しかも裸足で
病院の廊下を歩いてる姿を見たときは
何をするのかと思ったけど、
本人に聞けば、空を見に行きたいと。
怜「一緒に行っても良い?」
って聞くと、コクンと頷いてくれた。
紫織は屋上に着くと、屋上の真ん中に座って、
いつも付けていたペンダントを外した。
ペンダントを開けると
中には紫織とヴィオレッタさんの写真があった。
紫織「私が鴻池家の本当の血筋でないことは
知っていましたが、知らないフリをしていました…」
紫織はヴィオレッタさんの子で
旦那さんを早くに亡くしたせいで
生活が苦しい上に、紫織が病弱なため
ヴィオレッタさんが育てるのは難しかった。
そのとき、助けてくれたのが鴻池家。
ヴィオレッタさんの親友が嫁いだ鴻池家が
養子として迎えてくれる上に、ヴィオレッタさんが
紫織のそばにいることを許してくれた。
ヴィオレッタさんがいるからと、当主の息子夫婦は
なるべく紫織との時間をすごさないようにしていた。
成長するにつれ、
紫織とヴィオレッタは、どんどん似ていった。
いろいろ条件が重なり、
他の召使いたちが変な噂を立てるようになった。
その噂をした召使いたちは息子夫婦によって即解雇。
そのせいで召使いが続かない現象が生まれた。
紫織はそれを自分のせいということにしていた。
そうすることで、事実を隠し続けていた。
ヴィオレッタが本当の母親だと知ったのは
もっと、もっと、紫織が幼い頃に
ヴィオレッタさんたちの会話を聞いたとき。
それでも黙っていたのは
ヴィオレッタさんと離れたくなかったから。
どんな形であっても、
ヴィオレッタさんと一緒に生きたかったから。
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