16、健水視点 ページ16
紫織との距離感も
だいぶ慣れてきた。
相変わらず、間違ってるとこを
しれっと直されてるのは心にグサッと刺さるけど…
健水「紫織、これ?」
紫織「それです。ありがとうございます」
本棚から取ったファイルの中には
ヴィオレッタさんから届いた手紙が
綺麗に入っていた。
健水「ずーっと手紙のやりとりしてるんやな」
紫織「はい。ここに住むようになる前から
ずっと手紙のやりとりをしています。
おかげで簡単な言葉だけですが4ヶ国語も
使えるようになりました」
健水「いつから4ヶ国語も勉強してるん?」
紫織「フランス語は日常会話で、
日本語は父が使っていたので、なんとなく覚えて、
英語は学校で習って、韓国語はヴィオレッタが」
日常会話で使ってたフランス語、日本語は
まぁ、わかるとして、英語も習うし、わかる。
でも韓国語は…
紫織「言葉を覚えるのは
ただの暇つぶしから始まったんです。
ずっとベッドの中だと、できることは勉強ぐらいで
その中でも楽しかったのが言葉だったんです」
健水「それでも誰にでもできることちゃうで?」
紫織「たまたま教えてもらう相手が
良かったからだと自分でも思っています」
ほんまに良い人やってんな、ヴィオレッタさん。
紫織「これを同じ場所になおしてもらえますか?」
健水「ええよ」
紫織からファイルを受け取って
本棚にしまっているとき
バタッと後ろで音がした。
振り返ると
健水「紫織!」
ベッドに座っていたはずの紫織が
胸をおさえ、床に倒れていた。
健水「紫織!」
怜「健水く…紫織!」
怜は状況をすぐに把握したらしく
ベッド近くの引き出しから薬を出して
紫織に飲ませた。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ