160話:不幸自慢 ページ10
「私は君が思っている以上に人を_『不幸自慢ですか?』…」
被せるようにそう言った。
そう言うと、太宰さんは顔を上げた。
目が合った。
(…悪い言葉を最後まで言わせちゃダメだ…)
真っ黒な目をしていていつものように明るさは感じられない。
表情も悪く、全てに絶望していて何かを迷っていた。
『あなたが過去に何しても、今とは実質無関係。
太宰さんが今何したいか。それだけじゃないですか?
だから、マフィアを抜けて救う側に来たんでしょう?』
「…だが、そう簡単じゃない。
過去は今と完璧な無関係という訳じゃない。
マフィアはまだ私のことを狙っている」
太宰さんはそう言った。
確かに、過去のことは少しは引っ張られるかもしれない。
『そうかもね。
森さんが手放すことは無さそうだけど、太宰さんはそれを回避する頭脳は持ってる』
「……」
『それに死んでしまうなんて言わないでよ。』
_友達なんだし。
「っ…」
私は自然とそう口に出た。
きっと、死にたがりの彼にその言葉は良くない。
死にたいから、死にたいとヘルプサインを出せなくなるのは、良くないこと。
でも、太宰さんにはそう言っていいと思った。
(太宰さんはきっと苦しんでるけど)
苦しみが永遠と続くことは無い。
それは人間だから終わりがあるということ。
「それだよ」
『?』
ふと、太宰さんを見ると真っ黒な目で私を見てきた。
どこか怒っている声。
「君はすぐそう言って…゙友達゙と使うね」
『そうでしょう?だって私たちは友達だ』
私が友達と言うと、彼は顔を歪めた。
そしてこちらを睨んできた。
感情が昇ってきたのか、彼の目には涙が浮かんでいてポロポロ落ちていた。
「私がこう思うのも、過去を思うのも、すべてはっ…
全て君のせいなんだ!
どうして察してくれないんだ!」
『…』
「もう、私と関わらないでくれ…。」
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シグマざん(プロフ) - シアさん» コメントありがとうございます。了解しました (1月11日 0時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シア - 江戸川乱歩オチも作っていただけませんか? (1月9日 7時) (レス) id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
シグマざん(プロフ) - 冬華さん» ありがとうございます!!ひとつの事に集中するのは苦手で更新は遅くなってしまいますがとても嬉しいです! (9月18日 16時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 恋愛系の久しぶりに読むんですけど、話の展開に無理矢理感がなくて気持ちよく読めました!沢山の作品を同時に作ったり、アイデアを出せるシグマさん、尊敬します! (9月18日 14時) (レス) @page13 id: 62d80712bb (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - raiさん» 少しずつですが頑張ります。ありがとうございます (8月15日 14時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2022年9月27日 23時