検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:6,475 hit

158話:異変 ページ8

「っ…ぅあ…」


太宰さんは私の背中に腕を回し、呻き声を上げて泣き始めた。
辺に太宰さんの泣き声が広がったけれど、台風のせいで少し鈍って聞こえた。

弱いところを見せたくない太宰さんはこうするしか泣く方法が無かったのかな…?


『…っ…よしよし、大丈夫だから』


私は太宰さんの背中をさすって落ち着かせるように促した。
水かさが高くなった川に足を突っ込んでいるから、流されそうになって怖いけど、抱きしめて一緒に流されないように頑張った。

太宰さんは泣いてしまっていて、この台風の暴風のせいで声があまり聞こえない。


(こんなに苦しむなんて…何があったんだろう?)


私は抱きしめながらそう言った。
_太宰さんの肩の震えが止まったのを確認すると、私は耳元で囁いた。


『とりあえず、ここからあがりませんか?』
【…嗚呼、そうしようか…】


(反応が遅い…)


太宰は死人のような顔をしていた。
それでも、一緒にあがってくれるみたいで、川水から足を抜いて、川水が当たらないところに来た。

雨のせいで低体温になってしまう。


(どこかいい所…)


ふと、目線を向けると橋の下がまだ川水に触れてない。
雨塞ぎにもなるし、水嵩がこれ以上増さないことを願いながら、橋の下に向かった。


___
__
_


太宰さんを座らせて、隣に座ると彼は手を繋いできた。
寒がってはいない。
慣れているのだろう。

でも、目線を落としてどこか暗い雰囲気だ。


『…風が少しやんだら太宰さんの家に行きますよ』
「…」

『太宰さんの家の方が近いし、話しやすいでしょ?』


そう話して前を見た。
太宰さんは何も返事がなかったが、静かにうなづいてくれた。


(本当に…どうしちゃったんだろ…。)

159話:不満→←157話:冷



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 分岐編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シグマざん(プロフ) - シアさん» コメントありがとうございます。了解しました (1月11日 0時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シア - 江戸川乱歩オチも作っていただけませんか? (1月9日 7時) (レス) id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
シグマざん(プロフ) - 冬華さん» ありがとうございます!!ひとつの事に集中するのは苦手で更新は遅くなってしまいますがとても嬉しいです! (9月18日 16時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 恋愛系の久しぶりに読むんですけど、話の展開に無理矢理感がなくて気持ちよく読めました!沢山の作品を同時に作ったり、アイデアを出せるシグマさん、尊敬します! (9月18日 14時) (レス) @page13 id: 62d80712bb (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - raiさん» 少しずつですが頑張ります。ありがとうございます (8月15日 14時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2022年9月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。