162話:喪失感 ページ12
しばらく、近くの木にもたれかかって雨風に耐えた。
涙が止まるまでの辛抱。
(冷たいなぁ…)
太宰さんは1人でこんなところに出てきて何しようとしたのかな。
死ぬに決まってるか。
ならどうして私にかけてきたのかな。
死にたいのに電話をかけるなんてどうなんだ。
彼は止めて欲しかったのかな。
…わかんない。
(なんもわかんない)
『…はぁ……』
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涙が止まって家に帰ると、フエトくんが玄関に立っていた。
バスタオルと着替えの服を用意してくれていた。
『フエトくん…』
「大丈夫ですよ。Aさん」
ふと、何かを感じたフエトくんはそう言った。
優しい声で涙が出そうになったのを堪えた。
玄関の段に座ると、フエトくんは濡れた髪をバスタオルで拭いてくれた。
静かに優しく拭いてくれて、嬉しかったけど、友達が居なくなった喪失感の方が大きかった。
簡単に髪が拭き終わると私は用意された服に着替えた。
『ごめんね。少し部屋にこもるね』
私はそう言ってから自室に入った。
フエトくんは不安そうに私を見ていた。
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次の日。
私は普通にドアから出て朝食を作った。
昨日のことを気にしてないと言えばそうじゃないが、ずっと引きづっても何も変わらない。
朝食を作っていると、ぴょこっ…とフエトくんが顔を出した。
「! 立ち直ったんですか?」
どこか驚いた表情をしていてそう聞いてきた。
そんな彼に少しだけ微笑んだ。
『さぁ?』
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しばらく私は外に出なかった。
太宰さんと会ってしまうのは嫌だったし、外を歩く気分じゃない。
それと共にフエトくんが家を出た。
【本当はまだ居たいのですが、部下がやらかしまして】
そう言って2日前に出て行った。
帰って来れるか分からず、私の同居人は飛び立った。
(んー、やっぱり何も無い休みの方がいいなぁ。)
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シグマざん(プロフ) - シアさん» コメントありがとうございます。了解しました (1月11日 0時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シア - 江戸川乱歩オチも作っていただけませんか? (1月9日 7時) (レス) id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
シグマざん(プロフ) - 冬華さん» ありがとうございます!!ひとつの事に集中するのは苦手で更新は遅くなってしまいますがとても嬉しいです! (9月18日 16時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 恋愛系の久しぶりに読むんですけど、話の展開に無理矢理感がなくて気持ちよく読めました!沢山の作品を同時に作ったり、アイデアを出せるシグマさん、尊敬します! (9月18日 14時) (レス) @page13 id: 62d80712bb (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - raiさん» 少しずつですが頑張ります。ありがとうございます (8月15日 14時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2022年9月27日 23時