かのじょ49 ページ49
1杯飲むと、結構体が熱い。
酔いの象徴。
テンションも少し上がってきて悪くない。
『…変わらない味でよかった…』
ふわふわ…としていると、ふと隣に誰か座った。
男性が座ったみたいで「彼女と同じのを」と頼んでいた。
__思考が止まった気がした。
聞き馴染みのある声。
わたしの…弟子の…
ゆっくりと視線を向けると、そこには薄く笑った鴎外が居た。
鴎外「ここにいると思ったよ」
『なんで…まだ飲んで10分しか…』
太宰から連絡?
黒猫…しかバレていないはず。
いや、私は黒髪だし…まず印象が違う!
(なぜ…こんなに早く??)
逃げようとすると腕を掴まれた。
酔いのせいか力が上手く入らない。
すると鴎外は口を開いた。
鴎外「Aは知らないと思うんだけれど」
『…』
鴎外「ここ、ポートマフィアの敷地内だから」
『……え?』
違う。
ここは違う。
_昔っからここだけはマフィアの視界外だったはずだ!
思わず困惑すると、鴎外は楽しそうに笑っていた。
そして奥にあるカバンに指を指していた。
鴎外「それに、太宰君が言っていたよ」
『…』
鴎外「黒猫が子供用のリュックサックを持っていた…とね。
大人の君が…。
どうしてそんな小さなリュックサックを持っているのかい?」
(あ、あそうだ…これもバレたんだ)
視界になかった。
私ばかり目をつけて、持ち物に目を向けて無かった。
鴎外「ね、師匠。」
『……』
鴎外「昔の記憶しかないならば、ここに来ると思ったよ」
そう言って鴎外はお酒を口にした。
そして小さな錠剤を口に入れて、私の口にキスしてきた。
『んんっ!?』
思わず驚いて、ゴクンと飲み干してしまった。
吐き出そうと咳き込むけれど、出てこない。
(やだ、生き地獄だけは!…っ…)
アタマがクラクラする…。
視界がぶれて行くのが分かると、鴎外はまたお酒を口にして笑っていた。
鴎外「やっと手に入れたよ。師匠」
『う、あ…』
悔しくて、これからが怖くて、涙が止まらなかった。
鴎外は心底楽しそうな顔をして、最後に私を見た。
「もう死なせないよ」
その言葉を最後に意識が途切れた。
体が前に倒れると、鴎外が支えてくれて最後にお酒をもう一口口に流し込んだ。
鴎外「捕まえた。」
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2021年12月3日 0時