かのじょ48 ページ48
『酷い目にあった……』
思わずため息が漏れた。
…もう少し遅かったら捕まっていた。
生き地獄なんてつまらない。
(もう吹っ切れたから、こんな私を認めてよ…。)
すると人間になっていたら、ぐぅぅ…とお腹が鳴った。
(ムカムカするし、沢山食べたい気分)
子供用のリュックサックを持って外食店へ向かった。
美味しそうなパスタ料理店。
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『うまぁ…』
1人で夕食を食べるのは好きだ。
人が居たら気を使わなければならないし、マナーだって守らなきゃならない。
でも1人ならどうだ。
ちょっとくらい破ったってツッコムやつは居ない。
(どうしよう…これから)
捨て猫役は、危険かもしれない。
太宰に見破られてしまうし、拾う人によっては今回みたいにマズイかも。
(…久しぶりにバーでも行こっかなぁ…)
なんて思いながら食事を終わらせた。
お会計をしてしばらく横浜の街を歩いた。
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マフィアの敷地外のバー。
私はいつもここで飲むのが大好きだ。
昔の名残がまだ残っていることに感動しながら、いつもの席に着いた。
すると3代目のマスターはチラリ…とコチラを見て「初めてですか?」と丁寧に聞いてくれた。
『いいえ、なんどか来てますよ』
マスター「失礼しました」
『弱めのお酒をオリジナルで下さいな』
私がそう言うと彼は作り出した。
手馴れたもので、彼の顔には薄らと笑みが混ざっている。
…綺麗に氷が割れる音、酒が混ざる音、そそぐ音。
(落ち着くなぁ)
少しすると「どうぞ」と言って机の上に置いてくれた。
私はグラスを少し回して口に運んだ。
口の中に少し苦い…でもほんのり甘い酒の味がした。
飲み込むと、ふわっ…と体が熱くなった気がした。
『昔から変わりなく美味しいですね』
マスター「…先代には負けますよ…」
『ううん。変わらない…同じ味だ』
私が褒めると「ありがとうございます」と控えめに彼は喜んでいた。
静かな音楽がバックに流れてる。
(……今回は少し、お酒の耐性度がない…??)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2021年12月3日 0時