かのじょ29 ページ29
まぁ、今は紅葉についてだ。
流石にこの混乱状態で真実を伝えるわけには行かない。
『…ただいま。紅葉』
尾「!」
森「…」
私はそう言って背中を優しく撫でた。
…紅葉はきっと”アレ”が夢だと思っている。
なら、その道を通って精神的に抑えるしかない。
すると紅葉の呼吸は少し落ち着き、涙は沢山溢れ始めた。
(よし、大丈夫そう)
あたりには紅葉の泣き声が響き、男陣は驚きで固まっている。
その中で鴎外は動けそうだったので、アイコンタクトで[部屋に行こ]と声をかけた。
少しして〈分かったよ〉と返ってきた。
『紅葉…ここは紅葉の涙が他の男にも見えるから個室に行こう』
私はそう声をかけだ。
すると小さな声で「うんっ…」と弱々しく帰ってきたので、抱きしめたまま歩いてもらって部屋に運んだ。
普通の個室の部屋。
私と紅葉が先に入り、後から鴎外達もやってきた。
するとその瞬間地面に着いていた足が浮いた。
『!?』
尾「この手にちゃんと…居るっ…」
…どうやら紅葉が抱きしめたので、幼女の姿になっている私は身長が釣り合わなくて浮いてしまっているようだ。
私は静かに紅葉を撫でた。
(ごめんね…紅葉…)
紅葉とは約7.8年前からの付き合いだ。
でも、異能のことについては言ってもない。
年に1度死ぬ異能のことは、バレないように行ってきた。
だから、今回もちゃんと隠したかったけど…歯止めが効かなくて近くで死んでしまったことについてはとても申し訳ない。
ゾグッ…
『!?!?』
ふと、背筋が寒くなった。
全身が気持ち悪さに襲われて、思わず紅葉を突き飛ばそうと手を伸ばした。
『イヤっ!!』
そう言って突き飛ばそうとしたが、手に力が上手く入らない。
…いつもなら簡単に力が入ったはず…
先程の寒気のせいだろうか?
(なんで…)
その時、紅葉は首を傾げた。
片手は腰や腰の下に。もう片方は背中と頭にあった。
尾「?…なんじゃ、この突起は…」
頭に触れられてそんな声がしていた。
フードをしていたおかげで、バレていない。
(頭…私の頭には_猫耳がッ……)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2021年12月3日 0時