浮気の相談をされ、罪を被せてきます。【文スト】

３４話：優しい誘拐犯 ページ34

そして、私は外に出された。
姿は見れなかった。
背中を取られて、振り返れなかった。


「やっと成功しました」
『貴方は誰でしょう？』
「敵です」


(あら、随分優しく言ってくれるんだ……)


そして私の前に姿を出してくれた。
そして、不気味に笑った。

…白い帽子に、暗い紫の目。
それは、消えそうな儚い姿の男性だった。


「初めまして、ドフトエフスキーと申します」
『はぁ…魔人さんが私に御用で？』
ド「助けに来ました」


(助ける？)


意味が分からない。
私は今困っていた訳じゃないし、電気を消され、魔人と出会った方が困っている。
すると魔人は優しく笑い、私の手を取ってきた。


ド「貴方みたいな聖女は彼等の居るところじゃ発揮出来ません」
『…こんな愚かな私を聖女と呼ぶの？』

ド「ええ、貴方ですよ」


私は下を向いて考えた。

聖女とはけだかい女性のこと。

お上品で、お嬢様の事を指す。
きっと彼は、亜里沙と私を間違えている。


『残念ながら私ではありません。亜里沙と言う女性ですよ』
ド「……認めないのですか？」
『認めません。第一、私は助けなど求めてない。帰ってくれ』

ド「……」


私はそう言った。
そして足を進めた。
魔人は私の後ろ姿を見ていた。


ド「…やっぱり落とすのは難しいですね」


＿＿＿＿＿＿


そして私は雄一郎の元に向かったのだが、その前に集団の男の中に入ってしまった。
男はなりふり構わず、ﾍﾞﾀﾍﾞﾀと私に触れてきた。


『……雄一郎の所に行きたいのですけど』
「いいじゃないか…ね？……わぁ、はだスベスベじゃん！」


3.4人の男が私を見た目で判断している。
私はこういうのがイヤでメガネを付けている。
……モテることは嬉しいと同時に疲れるのだ。

美人さんが早死するのは、こういう理由だ。


(投げ飛ばす？…いや、騒ぎ事は良くないな)


すると、インカムに連絡が入った。
中原さんからだった。


中【なんで太宰が此処に居る！】


(あっ…出会ってる)

遠くから太宰さんの声が聞こえた。
そして掛け布団の事をなんか、バレて突き止めていたらしい。


〖護衛らしい。敵だ〗
中【プレゼントの事言ったのか？】
〖言ってない。気付かれた〗

森【此処でプライベートの話はやめたまえ…所で捕まえたよ】


森さんはそう言った。
するとナンパ野郎達は私の腰に触れて、セクハラしてきた。


〖お疲れ様です。引き上げまし「意外と可愛いじゃないかね？」…あ、ちょ〗

中【…今何処だ？】
〖……西〗

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