メンヘラ恋人【文スト】【太宰】

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”なんでもする”が効いたのか、治の機嫌は少し治ってくれた。
そしてお風呂に入ったまま、軽くキスをした。

とても甘くて、慣れたキス。

汚されたものが浄化された気がした。
彼とのキスはいつもしているから、呼吸の仕方も分かるし、ずっとくっついてできる。

30秒、1分、2分…と私達は離れなかった。


(やだっ)


すると彼が離れる素振りを見せた。
彼は目を開けてキスしてくれるけど、辞める時は目を閉じる。
必死に繋いでる手を強く握って、自分からディープキスに変えた。


「……」


彼の弱いところは分からない。
私は攻めるのが好きじゃないし、元々は彼の方が上手だった。

彼の技術を落としてくれた。
そこなら私の努力でも追いつけたから、こうやって長時間できるようになった。

彼には叶わない…だから、突き放された時、怖い。
私の方が彼より全て秀でたら＿こんな心配なかった気がする。


『んっ、っ…ひっく…』
「………泣かないでくれ…」


ふと、彼はそう言った。
我に返ると涙がいつの間にか溢れていた。


『…っ、ぅっ…やらぁ…』


繋いでいた手綱が切れて、私は不安でいっぱいの中繋ぎ直した。
言葉なんか要らない。


(涙が邪魔っ…)


でも、私のために言ってくれて嬉しい。
のに…不安の方が勝るなんて、私どうしちゃったんだ。

＿ストッパーが壊れた？

治に対して欲が止まらない。
パーティに行った時の不安が大きかったからかな。

また傷つけてしまうかもしれない。


(治の体に傷なんてついて欲しくないけど、私のならいいか)


……私はキスを辞めた。
すると彼も簡単に辞めてくれて、私の様子を気にしていた。

そのまま繋いでいた手を私の口元まで持ってきては、噛み付いた。
ガリッと歯で噛み、血は出ない程度で止めた。

八重歯もないし、簡単に皮膚なんて切れない。

すると治の声はいつも通り、とても優しくなった。
先程の怒りは全て飛んだらしい。


「あははっ、A、今はお風呂だよ？」
『………』

「あと付けるのはベットの上で、ね。」

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