メンヘラ恋人【文スト】【太宰】

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(意識飛んだ…？)


やられた？
ただのキスだけで…？

とにかく治と似ていた。
雰囲気は全く違うが触れられた時に持った熱の発し方、隙のない攻め方、私以上に私のことを知っている。


『…貴方何者？』


私は思わずそう口を開けた。
疑うように彼の目を見ると、彼はニコニコ笑っていた。


「悪者です」

『…なんのためにここに来たの』
「ここの主催者を殺しに来ました」

『え……』


(主催者って私のターゲット？)


思わず言葉を失うと、彼は撫でる頭を止めた。
そして頬を撫でるように降りてきた。


「はい、貴方が狙っていた男ですよ」

『どうやって…？』
「秘密です」

『異能力者』
「はい、ぼくは異能力者ですよ」


一言言っただけなのに求めた答えが返ってくる。
すごいなぁ。


(この人、頭いいんだ)


『名前は？治とはどういう関係？』


私はそう言いつつ頬を撫でる手を止めさせた。
そして起き上がり、乱れたドレスを着直した。


「…ぼくはフョードル・ドストエフスキーです。
太宰治とは似た者同士です」

『似た者同士？』

「ぼくと彼は似ているんですよ」
『……そう』


(まぁ確かに)


ただ雰囲気は全く違うけどね。
そこだけは譲らない。


『…とりあえずちゃんとターゲット殺したのか見せてもらえる？』
「はい」


私達は話し合って今日のところはお互い殺さないと約束した。
…殺す予定が無くとも敵対はしないと言う話だけ。

そうした理由は私の勘が彼が危険と言っている。


(何故か分からないけど)


「此方です」


彼はそう言って手を差し出してきた。
思わずその手を見つめて、たたき落とした。


「…ぁ…」
『私は異性と手を繋いだらダメなの。殺さない約束をしたんだから拘束しないで』


私はそう言って出入口へ先に歩いた。


(一瞬揺れた心は気のせいだったんだ)


今は彼を見ても何も感じない。
だから、早く治に会いたい。


「…」


そんな中、弾かれた手を彼は見つめた。。

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