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そんなことを愚痴っていると外に出られた。
手を離して、深く呼吸を整えた。


「可愛いも辛ェんだな」
『…そうだね。可愛いに特化しちゃってるから尚更』

_カッコイイ女性には成れないから。


夜の優しい風が少し吹いた。
髪の毛がふわりと揺れ、優しく風が慰めてくれた。

中原が言葉を出そうとしたが、口を閉じた。
_男が何を言っても受け取るのは1つしかないから。
皮肉にしかない。
異性とはそんなもの。


「……よし、A。食べたいものはあるか?
俺が取ってくるぞ」


慰めとして、彼はそう言った。
ちらっ_と中原を見ると本気で心配してくれて、好きなものを取ってきてくれるみたい。
私は口を開けた。


『入ってすぐ右壁にあったイチゴパフェ
それから男のウェイターが持っていた赤ワイン
嗚呼、左前にあったドーナッツも忘れないで』

「は、は!?」

『なぁに?持ってきてくれないの?』


ジト目で彼を見るも、頭が追いついてないのか「待て待て」と口を開けた。
思わず私の口が止まると、彼がゆっくり言葉を言った。


「まさかあんな短時間で全ての場所を覚えたのか?」
『……パーティは私の仕事場。このくらいしなきゃ可愛さなんて続けれない』


ずっと可愛いわけじゃない。
可愛くなるポーズがあるから、全てにおいてそう演技している。
だから位置把握なんて基本中の基本だ。


『中原、取ってきて』


ニコニコ笑うと中原は首を立てに振った。
納得してくれたみたいで、バルコニーから出て行った。

私は視線を夜空に合わせ、月を見た。
青い満月は私を輝かせるように光っていた。


(治…)


私はあなたに会いたい。
あなたの大きな体で包み込んで欲しい。

歳をとるにつれ、薄れていく可愛さが怖い。
取り柄が失って言って怖い。

可愛さを求めないのは貴方だけ。
歳をとっても傷がついてても無常にそばに置いてくれたあなたに今すぐ会いたい。


『わたしを愛して…。』

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シグマ(プロフ) - 黒川かぐやさん» うふふふ、嬉しいです!ありがとうございます!まじ共依存しか勝たん★ (8月27日 20時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒川かぐや(プロフ) - あの、好きです……えっと、その👉👈ほんとにこの関係が好きで、この作品沼すぎて、何回も見直しちゃってるくらいです……共依存しか勝たん🥺👊 (8月27日 18時) (レス) id: 5ae6456499 (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 橘スミレさん» ふふふ、ありがとうございます! (8月27日 3時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
橘スミレ(プロフ) - これぞ共依存ですね。最高です。 (8月27日 0時) (レス) @page44 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 眠いちゃんさん» おおっ、いいところに気づくねぇ!(ありがとうございます!) (5月13日 19時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2022年10月23日 19時

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