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文句ばかり言っても聞かれてしまうかも知れない為、一応絵を描き始めた。
エリス様は慣れた手つきで絵を描いていたが、Qは困った表情を浮かべていた。
「絵はつまんない」
「あら、そうかしら?」
「何を描いたらいいか分からないもん」
2人はお話し始めた。
「絵を描くくらいならAの家事をお手伝いしたい」と言うQの意見にエリスはハッ!としていた。
「駄目だ。そんなことしたら私が怒られてしまうよ」
「勝手に怒られてればいいじゃん」
「……怒っている時間の彼女の時間は、私が頂くよ?」
「だ、だめ!」
「仕方ないわね」
「ここはそっとして置くのよ」とエリスは声をかけていた。
……ふーん。
太宰は口元を緩めた。
__2人の弱点は彼女。
(そのくらい手放したくないわけか)
「重症…」
ボソッとそう呟き、遠くでバタバタしている彼女を見た。
溜まった洗濯物を干していて、たまに目が合った。
実際、見ているのは私ではなく子供達だ。
そして毎度毎度、優しく微笑んでいた。
(普通の子なんだがなぁ)
____
__
_
1時間ほどすると彼女は『どうですか?』と声をかけて戻ってきた。
すると2人は描いた絵をいち早く、我先にと見せていた。
_イラストの上手い下手は彼女にとって関係ない。
彼女は描いた絵を見て嬉しそうに微笑んでは子供達を褒めて撫でていた。
…横目に私も見るとエリスもQも、彼女と自分を描いていた。
エリスは可愛らしい絵で。
Qは慣れてないのか人型…程度しか読み取れなかった。
『貰っていいの?…ありがとう!』
そう言って万遍の笑みを浮かべていた。
大切に絵を持っては2人のおでこに軽く口付けをしていて、幸せそうに2人は笑っていた。
(……羨ましいよ)
本当に。
子供は無邪気で。。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月19日 16時