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真夜中、部屋のドアが物静かに開いた。
電気を押さずに部屋の中を歩いてはチラリとソファを見つめた。
「何してるんだい?Q」
彼の目線には深く眠りについているAとそんな彼女を座って見つめているQが居た。
嫌そうに私を見ては口元に指を当て「静かに」と小声で呟いていた。
「別に帰って来なくても良かったのに。太宰さん」
Qにとって私は大層嫌われているらしく、大きくため息を付いていた。
だが視線はすぐにAに向いては手のひらを頬に擦り合わせていた。
小さくその細い手に気軽に触れ己の好きなように独占できる
__そんな簡単に触れれる子供は羨ましい
ふっ、と鼻で笑っては苛立つ心に自分でもビックリしていた。
「帰宅はAとの約束だからね」
「……ワァ、太宰サンガ約束ヲ守ルナンテー」
「気持ち悪い」とQは罵り激しく私を睨んだ。
_過度に敵視されてることに笑ってしまい、視線を逸らした。
ふとその先には机があった。
机の上には紙とオムライスが置いてあり、思わず近寄った。
【必要ないと思いますが小腹がすいたらどうぞ。
困ったことがあったら起こして下さい。A】
そんなメモが置かれ、視線は出来上がっているオムライスが目に付いた。
見た目は普通。
どちらかと言うと上手く出来ていて、下手では無い。
(作っていてくれたのか)
__要らないと言ったのに。
だがなんだか嬉しかった。
別に小腹がすいている訳でもないのに、なんだか食欲が湧いてきた。
こんなにも冷たくなっているのに__これは私のためだけに作ってくれたものだ。
特別視されている見たいで、変なところの気遣いに自然と私の口元はあがっていた。
(変だな)
ただの夜ご飯なのに。
普通の、普通の…晩御飯が、こんなにも嬉しいだなんて。
心臓が高ぶり、涙が溢れそうなのは、何故だろうか??
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月19日 16時