【文スト】才能なしは子供に弱い (ページ26)

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「理由は分からないよ」

私はそう言った。
すると彼は気難しい顔をして「太宰でも分からないことがあるんだな」と悩みを解決しようと頭を回してくれたようだ。

そんな変な顔をしている織田作に思わず口元が緩んだ。

「織田作が解決したら私よりも頭が優れてる証明になるね」
「…そうだな」

今宵、もう1人の友人は来なかった

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ぽちゃん、と水がはねる音がお風呂場に響いた。
私は壁に背をもたれ天井を見ては目を瞑った。
目の前にいるQ様は私の膝の上に座ってくれていた。

(今日も頑張ったなぁ)

異能力にかかってしまったから尚更疲れたのかもしれない。
このまま風呂寝で眠りにつけそう。
こくん、こくん、と自然と瞼が重くなるとQ様から軽く名を呼ばれた。

『どぉしたの？』
「お風呂でもその仮面は外さないの？」

非常に素っ頓狂な声が出てしまった。
己の声が部屋中に響いては返ってき、その馬鹿らしさに驚いてしまった。
そんな自己中な私には気にせず彼は不思議そうに此方を見つめた。

『外さないよ』
「…」

『本当は体も見せるべきじゃないんだ。
だけれどQ様はまだ子供だから家族のように過ごせたらいいなぁって言う私の意思だよ』

この虐待の跡は、子供に見せるべきじゃない。
でも私のワガママに付き合ってもらって共にお風呂に入った。

(不安そうな目をしてるなぁ…)

私は彼の頭を優しく撫でた。
優しい彼は人の心配もできるエリスと同じような優しい子。傷んでいる腕を彼は優しく掴んで、傷んだ所を見つめていた。

「痛い？」
『Q様がそばに居るから痛くないよ』

体の傷は少しつづつ治るが、顔の傷は治らない。

美味しいものを沢山食べて、沢山眠って、沢山運動すれば、体の傷は治るから。
そこまで不安そうにしなくていいのだ。

「…A、無理しないでね」
『はい』

彼は傷口に軽く口づけをして慰めてくれた。。