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私は織田作に彼女の様子を伝えた。
目をつぶるだけで自然と彼女の様子を浮かぶことが出来た。
微笑む時は長いまつ毛が瞳を閉じ、柔らかそうな唇の口角が分かりやすくあがる彼女の姿が目に映る。

__彼女の家族から誘拐して(奪って)きて、エリスを虜にし、更にあの災厄であるQを救っているんだよ。


「次は誰を救うだろうね?」


(どこまで人を変えられるかがね)


そう言う私を織田作は不思議そうな顔で見つめていた。
目を丸くしていて予想外だった、と言う反応をしていた。


「…珍しいな。そんなに人について太宰が喋るなんてな」

「え、そうかい?」
「嗚呼」


カラン、と氷が解け揺れたそれが硝子を弾いた。
私はそんなコップに手を付け、喉を潤した。


「太宰が褒めるそんな凄い人物に一度、俺も会ってみたいものだ」
「わ、私は別に褒めてるわけじゃ…」

「だがここまで喋らせた女性は初めてじゃなかったか?」


(まぁ、そうなのだけど)


彼女は人を変える力がある。
だが、手に入れられない。
そのおかげか意識ばかり彼女に向いてしまっていたようだ。

__この立場(幹部)でも手に入れられないものが出来たらつい欲しくなる。


(ただの一般人のような者だったのに……)


「ここまで考えた女性は確かに初めだね。どう思う?織田作。
私も救ってもらえるだろうか?」


___なんだか少し羨ましいんだ。


そう本心を少しだけ漏らした。
もうお酒を飲んだせいなのか、弱音を吐き出したかったのか、ぐちゃぐちゃな気持ちを吐き出したかった。

Qの世話ばかり、子供たちばかり。

私も人並みの怒りは持っているため、なぜか腹が立ってきた。
可笑しいな、彼女の前ではこんな事ないのに。。


「………」
「太宰、怒っているのか?」


ふと、すぐに織田作はそう言った。
私は彼を見つめて口を開けた。


「嗚呼、私、怒っているみたいだ」

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2023年10月19日 16時

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