20 ページ20
『きっと誰かがそばにいなきゃ動こうとしませんですから』
そう言って私が微笑むと「あ、そう」と彼は知らなかったとでも言うように呆気なくそう言った。
少し考えていたのか、私達を見つめてはクルリ、と180度回転してしまった。
「じゃぁ、私はここらで出かけるよ」
『あ、はい!夜には_「戻るよ」はい!行ってらっしゃい』
彼はなぜか足速に部屋から出て行った。
…ど、どうしたんだろうか?
首を傾げていると服の裾の部分を、ギュっ、と強く握られた。
視線がそちらに向くとQ様が構ってほしそうにしていた。
(んっ、かわいい…)
『じゃぁQ様、起きたところ悪いんですけど手伝ってくれますか?』
「何をしたらいいの?」
『一緒に洗濯物を畳んで下さい』
そう言うと彼は抱きしめるのをやめて手を繋いでくれた。
急遽落とした衣服を広い、私達は洗濯物を畳み、片付けた。
その間はずっとピタッとくっついてきてとても可愛かった。
夕飯も一緒に作ってくれた。
作ったのはオムライス。
ケチャップライスにするのは結構力が居る仕事でQと私で交代ごうたいでしっかりと混ぜた。
(昔は混ざりきってなくて怒られたなぁ)
__そういう場合は作り直し。
とてもしんどかったのをよく覚えている。
『さ、Q様、ここから大事な仕事です!』
「オムライスだから上の卵、フワフワにしたいね!」
『そうです!じゃぁ行きますよ!』
__
_
『ま、そんな上手くいくはずないもんね…』
私は上手くいかず失敗してしまった。
焼きすぎてフワフワな卵は少ししか残らないのにたいし、初めてのQ様は本で読んでいたのか完璧なものだった。
それとは別にもうひとつは小さい卵を用意して、一応太宰様の分も用意した。
「駄目だよ!Aは僕の作ったものにして!」
ふと、Q様はそう言って私の失敗作を持ち上げていた。
ビックリして変に大声が出てしまった。。
『ええ!?でもせっかく自分で成功したんですよ?』
「いいの!」
『で、でも…』
「Aのが食べたいの!それに頑張って失敗した方がきっと美味しいもん!」
『あ!?』
257人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月19日 16時