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『子供は繊細なんです。あんなことがあった後だから尚更起きた時くらいは誰かがそばに居ておかないとダメなんです』
「……」
『そう本に書いてありました!
私は愛されたことがほとんど無いため、分かんないんです。
だから、子供の接触の仕方を学んでいるんです』
__私には実らない努力が出来ることが才能ですから。
『そ、そういうことですからお願いします!』と押し付けて私は寝室から出て行った。
彼がどう受けとったのかは知らない。
でも大人が二人いるのなら片方は子供のために、居てて欲しい。
(後で怒られても、仕方ないっ!)
___
「……はぁ…実らない努力ねぇ」
部屋の中で1人、彼がそう呟いた。
先程、彼女は自信がなさそうにそう言って去って行ったのをよく見ていた。
(そんなことないのに)
目の前で眠っているQも大きく変わっている。
だから、彼女の努力は確実に実っている。
「……」
ほんの少しQが羨ましい。
自分を見てくれる人がずっとそばに居るから。
彼女の動きは高度なスキンシップがある。
なのに、子供達はなんの拒否もなく認めに行っていることが不思議で仕方ない。
(そう言うことは本には書かれない)
__そこが彼女自身の才能か、はたまた過去の影響か。
そこまでは推測出来ない。
そもそもあまり興味がなかったし、初めはジサツを止めずにスルーしたことに興味があっただけ。
それなのに、ついつい目線が彼女に向いてしまうのはどうしてだろうか?
子供ばかり目が向き、私には向かない。
なにか、なにか、不満である。
「う、ぁ…」
ふと、そんな苦しむ声が聞こえた。
そちらに目を向けるとゆっくりQが目を覚ましていた。
瞳は暗く顔は動かず視線だけ、チラリ、と私に向いた。
「やぁ、Q」
「ちっ…」
「…」
「Aが良かった」
口を尖されて、Qは顔を歪めた。
予想通りの反応で、太宰はその場でため息をついた。。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月19日 16時