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『……そんな、悲しいこと言わないでよ』


私はヘラッと笑ってそう呟いた。
__勿論、お姉様はとっても憎くて、死を望んでいた過去の私も嫌いだ。

消してしまいたいくらいの過去。
ここでわたしを殺したら、過去に勝てるのだろうか。


『……』


まぁ、そんな不毛な勝利は望んでない。
________________今の私には余裕がある。

カラン、と音を立てナイフを落とした。


〖!!〗
『大丈夫。辛かったね』


優しく、壊れた物に触れる様に過去のわたしを抱きしめた。
強く抱きしめるだけで壊れそうだから、優しく包み込むだけ。

すると、わたしはポロポロ泣いていた。


(結局、私はお姉様から抱きしめられたから)


殺そうとする程、憎んでいた。
お姉様が居なければ私はちゃんと愛されて真っ直ぐ生きてたはず…と信じてナイフを振ったけれど、お姉様は抱きしめた。


”大丈夫…間違ってないよ”
__Aが居なきゃ私はここまで褒めて貰えないから。


お姉様は優しい方。
元気で優しくて、恨んでも受け止めてくれた。


(だから私も、過去のわたしを抱きしめるしかない)



『大丈夫。将来絶対、私は幸せになるんだよ』
〖ひっく、うっ…っ…〗

『エリス様が地獄から抜け出してくれるからね』



そう言って撫で続けた。
わたしは希死念慮が止まったのか、大声で泣き出した。


(よかった…治まった)


私は安堵した。
とても不安な過去なのは理解してるし、普通にも成れない。


(今回は余裕があったのと、Qの異能だと分かって__)


『!?』
〖嫌、嫌、嫌!!!〗


ふと、姿勢が崩れ私は押し倒された。
体を起こそうと動かしたが、その前に首元を押さえつけられた。


『…なぁ”ん…で…?』


ギチギチギチ、と上から体重を掛けられ、首が絞まっていった。
苦しくて暴れるが〖酷いよ〗と言葉が聞こえた。
目を開けると、私の頬に涙が垂れた。


〖なんで、ぼく、ばっかり…〗


濁る視界の中、わたしではなくQ様が見えた気がした。。

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2023年10月19日 16時

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