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これにて、食事会は終えた。
朝食を終えてから始まり、夕飯後に私の仕事は終わる。
だから、この後はもうフリーなのだ。
「A、今日はありがとう」
ふと、エリス様はそう言ってきた。
目を向けると「また明日ね」と可愛らしく言って、隣の部屋に行ってしまった。
(可愛いなぁ)
綺麗な走り方に、美しい金色の髪。
誰がなんと言おうとも将来は絶対に美女確定!
と言いたくなる美しさだった。
「A君」
ふと、振り返るとそこには優しい笑みを浮かべている森様が居た。
すぐに頭を下げると「話したいことがあるんだ」と口が空いた。
『私にですか?』
「嗚呼」
とりあえず、食べ終わった食器を片付けに入った。
私が手伝おうとすると黒服達は"そんなことさせられません"と言って手伝わせてくれなかった。
(なんでだろう?)
仕事時間が終わったからかな?
まぁ、いいや。
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部屋が片付け終わると、森様は横浜の夜景を眺めた。
私も側まで行き、外を見た。
「今日は本当にお疲れ様だね」
ふと、森様はそう言った。
チラッと彼を見ると、視線は外に向いたままで、私も夜景を見つめた。
『はい。森様もお疲れ様です』
「エリスちゃんがすまないね。
覚えたばかりの言葉を使いたくなってしまう年頃なのだよ」
『分かりますよ。
私も昔、本で得た知識を直ぐに使いたくなりましたから』
私は思わず共感した。
昔はお姉様とたくさん知識を言い合った。
_幸せなことに幼少期は才能は現れなかったから。
すると彼は「優しいね」と声をかけてくださった。
『ありがとうございます』
「本当にマフィアには似合わない優しさだ」
『!』
ふと、そう言われた途端私の手首を握られた。
目線を向けると、彼はなにか言いたそうに私を見つめていた。
『どうしましたか?』
「……エリスちゃんが、羨ましいよ」
『えっ…』
(それってどういう…)
すると握られた手は離れ「また明日も頼むよ」と言いつつ椅子に座った。
そして書類に触れ、パソコンを見始めた。
(なんだったんだろう?)
よく分からない。
でも、なんだか悲しそうな瞳をしていた。
『…失礼します』
今日はとりあえずそう言って立ち去った。
これから仕事をするっぽかったし、私が出る幕では無さそうだ。。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時