8 ページ8
「でも、ワタシは…」
エリス様は何か言いかけて、口を閉じた。
じーっと私の方を見つめてきて、目が合うとそのまま椅子から降りて、抱きしめてきた。
本当に結婚、出来なくて悲しそうだった。
__嘘をついた良心が痛むが…仕方ないことなんだ。
『エリス様、どうしてそんなに悲しいのか教えて欲しいです』
私はできるだけやさしくそう言った。
子供の純粋な気持ちを壊したくない。
1番大切な時は、人格ができる子供時代だから。
『私に出来ることがあればいつでも応じますよ。
だって、私はエリス様のメイドなんです』
「!」
『傍にだって居ます。逃げませんよ』
「…」
私がそう言うと、エリス様は顔を上げてくれた。
見えた顔は、安堵した表情で笑ってくれた。
(よかった)
いつものエリス様に戻った。
瞳が合うと、彼女の瞳はなんだか少し黒く見えた。
「そうね、約束したもの。逃げないってね」
彼女は頬を赤くして幸せそうに笑った。
…先程の景色は私の見間違いだ。
だって、こんなに幸せ笑って光が無いなんておかしい。
『そうだよ。だから、大丈夫』
「ええ、そうね」
私はエリス様を大切に撫で続けた。
流石に結婚はしてあげられないけど、出来るだけそばに居ることは出来る。
いつか幸せにしてくれる人と出会って、エリス様が幸せになることを願っていよう。
心からそう思った。
「……」
そんな私を森は見つめていた。
だが、すぐに視線を逸らしエリスを見ると、狂ったような瞳で愛おしそうに彼女を見ていた。
スリスリと頬を彼女の肩に擦り付けていた。。
「なるほど」
155人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時