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「でも、ワタシは…」


エリス様は何か言いかけて、口を閉じた。
じーっと私の方を見つめてきて、目が合うとそのまま椅子から降りて、抱きしめてきた。

本当に結婚、出来なくて悲しそうだった。
__嘘をついた良心が痛むが…仕方ないことなんだ。


『エリス様、どうしてそんなに悲しいのか教えて欲しいです』


私はできるだけやさしくそう言った。
子供の純粋な気持ちを壊したくない。
1番大切な時は、人格ができる子供時代だから。


『私に出来ることがあればいつでも応じますよ。
だって、私はエリス様のメイドなんです』

「!」
『傍にだって居ます。逃げませんよ』
「…」


私がそう言うと、エリス様は顔を上げてくれた。
見えた顔は、安堵した表情で笑ってくれた。


(よかった)


いつものエリス様に戻った。
瞳が合うと、彼女の瞳はなんだか少し黒く見えた。


「そうね、約束したもの。逃げないってね」


彼女は頬を赤くして幸せそうに笑った。
…先程の景色は私の見間違いだ。

だって、こんなに幸せ笑って光が無いなんておかしい。


『そうだよ。だから、大丈夫』
「ええ、そうね」


私はエリス様を大切に撫で続けた。
流石に結婚はしてあげられないけど、出来るだけそばに居ることは出来る。

いつか幸せにしてくれる人と出会って、エリス様が幸せになることを願っていよう。

心からそう思った。


「……」


そんな私を森は見つめていた。
だが、すぐに視線を逸らしエリスを見ると、狂ったような瞳で愛おしそうに彼女を見ていた。
スリスリと頬を彼女の肩に擦り付けていた。。


「なるほど」

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2023年10月2日 7時

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