50 ページ50
『エリス様、Q様』
私がそう声をかけると2人は同時にこちらを見てくれた。
そしてニコニコいつもの笑みを浮かべて「はーい」と手を差し出してくれた。
それを受け取り、何事もなく私達はその場を去った。
(2人が居たら便利だなぁ)
____
__
「此処がAの部屋?」
『そうだよ。はい、どうぞ』
私はそう言って鍵を開けて、2人を中に入れた。
エリス様は慣れた足取りで中に入り、Q様はキョロキョロ全てに興味ありげに見つめていた。
(かわいいなぁ)
子供が目を輝かせてる所はとってもかわいい。
思わず頬が緩み、扉を閉めて中に入った。
「A、ここに来なさい」
『?』
ふとそんなエリス様の声が響き、目を向けるとソファを独占していた。
_場所を先に取っててくれたんだ。
そう思うと、私の足取りはすぐにそちらに向かった。
言われた通りに座ると彼女は嬉しそうに近寄ってきた。
そして私の手の平を取っては頭に置いてくれた。
「な、撫でてくれるかしら?」
どこか恥ずかしそうに彼女はそう言った。
(へ?)
その瞬間、きゅん♡と私の心が撃ち抜かれた。
『エリス様、かわいい〜!』
私は自然とそう言葉が出た。
突然の大声に彼女はビックリしていた。
そして、ソファに倒れるようにギュッと抱きしめ頭を撫でた。
(急にデレるのは反則だよっ)
「…カワイイのはAなのに…」
エリスはボソッと声を漏らした。
そのまま強く抱きしめれると、幸せそうに微笑んでいた。
そんな2人の様子をQは遠くから見ていた。
__いつもあんな距離なのかな?
あんなにくっ付いてエリスはあんなに幸せそうに笑ってるのかな?
ソコとココはなんだかとても遠くに感じられた。
まるで別世界のような感覚。
…僕には分からない暖かい家族の絆のように見えた。
(僕もそこに行けるかな?)
『…!』
ふと、Aと目があった。
彼女は僕を見つめては、微笑んでくれた。
『おいて、Q様』
「っ…うん!」
__嗚呼、僕もソコに行けるんだ!!
155人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時