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食事が終わり、私は片付けに入っているとQ様はクスクス笑っていた。
目線を向けると丁度目があった。
『どうしたの?』
「ここ」
ふと、Q様は首元を指した。
どこか悪戯が成功したような笑みをしていて、私は自然と顔を赤くした。
(き、きすまーく)
そうだ。
これを付けたのはQ様だったはず。
「A、かわいい〜」
「そんな分かりやすく反応したらダメじゃない!」
Q様はケラケラ笑っていて、膝の上にはエリス様が乗ってきた。
そして彼女は私を隠すように抱きしめてきた。
『エ、エリス様』
「……」
ぎゅゅ、と顔をお腹で隠された。
拗ねているのか声をかけても反応して貰えず、背中を撫でることしか出来なかった。
『…』
「エリス、嫉妬して、ダサいよ」
「Qに言われたくないわっ!」
「へぇー、じゃぁこれは僕の勝ちだね」
「う、Aっ〜!Qがいじめてくるわっ!?」
(なんの話しだろう?)
私にはよくわかんない。
でも秘密のお話ができるほど2人は会話の相性がいいんだろう
思わず、笑ってしまった。
するとエリス様は半泣きしてしまい、すぐに慰めた。
『ほら、大丈夫ですよ。エリス様』
優しく頭を撫でるとエリス様の泣き声は静かになった。
Q様はそんな私たちを見て顔を歪めていた。
が、人形を強く抱き締めて、コチラを見ていた。
「…ねぇ、A」
『なぁに?』
「僕も、撫でて欲しいんだけど…エリスばっかりずるいよ」
Q様は視線を逸らしてそう言った。
目を向けると、彼はギュッとまた人形を握って悲しそうにしていた。
「でも、もしかしたら異能を掛けちゃうかもしれない」
『……Q様』
「僕は異能にかかって欲しいけど、Aが嫌ならかけたくない。
Aの嫌がることはしたくないんだ…」
彼は本心なのかそう言った。
声は暗く、いつもの遊び半分の笑顔は一切見えなかった。
(異能のせいで甘えられないのか……)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時