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「嗚呼、中々決まらなくてね」
私の声が聞こえていたのか、彼はそう呟いた。
思わず彼を見るとエリス様を撫でては幸せそうに笑っていた。
『どうしてこんなこと?』
「君はエリスちゃんの世話係だ。それはQ君よりもA君が上の者の立場で異能を掛けた。
そして、仕事に支障が出たからね」
_罰は行わなければならないのか規則だ。
『……』
私は思わず口を噤んだ。
(…そんな、規則だなんて…)
言ってしまえば私の仕事ミスだ。
調子に乗って触れてしまって、Q様の異能が発動してしまっただけ。
(それにほとんど記憶ないし…)
『一体、何にするつもりですか?』
不安げにそう聞いた。
あまり、その、虐めないで欲しいと言うか…。
上手く言葉にできなくて、服の裾を掴むとエリス様が手を握ってくれた。
「A、大丈夫よ」
『…』
「Qの処罰は痛いものじゃないわ。傷つけることは出来ないもの!」
『そ、そうだけど…』
オロオロしていると、森様はじーっと私を見ていた。
そして薄く笑い1枚のプリントを現像してくれて、私に渡してくれた。
自然とそれを取ると、目を丸くした。
「このプリントは君に渡そう」
それは先程のQの処罰についてのプリントだった。
右端には首領のサインが入っていた。
『なぜ…』
「被害を食らったのは君だ。
Qに命令できる命令権程度でいいんだよ」
_任せたよ
森様は眠たそうにそう言った。
その様子に拒否ることは出来ず『はい』と答えるしか無かった。
すると彼は席を立ち上がり、私達とは入れ替えで隣の部屋に眠りに行った。
(森様はエリス様と一緒に寝てるのか)
エリス様のお父様だからそうか。
ん?
_もしかして森様が寝なかったのは私のせい?
私が居たから”眠れなかった”ということ?
『……』
「A、行きましょう?」
『う、うん!』
(考えるの辞めよ。)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時