【文スト】才能なしの救い (ページ39)

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「それで、何があってQは発動したんだい？」

隣の部屋に行くと森さんは椅子に座って私を見た。
目を向けると、彼は楽しそうに笑っていた。

「私が部屋に行く前に、すでに掛かっていたよ」
「ふむ…盗聴器は？」

「部屋にある。後で送ろうか？」

「頼むよ」

森さんは、彼女をただの道具として見ている。
エリスの異常から推測して、Qにも同じことをさせた。
エリスもQも救われたが＿可哀想なのは彼女だ。

全て仕組まれた上を動くんだ。
彼女自身の利益は何もなく、ただ動く、普通の女性。

「Qは彼女を守ると思うかい？」

森さんは分かりきっているが、確認するようにそう言ってきた。
直接目で確認した私の意見も聞きたいのだろう。

「嗚呼、異常な程に…ね」

「うふふ、そうかい。なら、A君にはコレに慣れてもらわないとね」
「………」

＿森さんの意向は私には分からない。

＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿

『…？』

私はゆっくり目を覚ました。
気持ちがいいくらいに深く眠り、体が軽い。
目を開けると見慣れない天井が見えた。

(あれ、ここ、どこ？)

そう思い、体を起こすと「んーっ」と隣から可愛い声が聞こえた。
ビックリしてそちらに目を向けると、そこにはエリス様が眠っていた。

ベットの中にまたもぐりこんだのだろう。

(…寂しがりだなぁ…)

思わずくすっと笑い、頭を撫でつつ当たりを回した。
そこは、シンプルな私の部屋ではなく赤い壁が目に付く部屋だった。
高級そうな綺麗な家具が目に入り、首を傾げた。

(あれ？)

＿私の部屋じゃないの？

(そういえば私、昨日…なにしたんだっけ？)

Q様と仲良く喋っていると、その瞬間お母様が現れた。
いつものようにムチを撃たれ、笑われ、涙を流した
その後はよく覚えてないけれど辛かった記憶はある。

『…』

ぼーっと思い出していると、不意にエリス様の方が動き出した。
目を向けるとエリス様の目が開いた。。

「…A？」
『おはようございます、エリス様＿＿！？』